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入管法改定についての緊急声明

入管法改定についての緊急声明

 日本華僑華人学会理事会は、5月21日に衆議院本会議において、また6月14日に参議院本会議において可決された「出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律」の中の永住者に関する改定(以下、入管法改定)について、深い憂慮を表明し、再考を強く求めます。

 日本華僑華人学会は、中国大陸にルーツがあり、世界各地に移動ないし定着した人々(以下、華僑華人)の歴史、社会、文化などを研究する学会で、会員には日本の定住資格を有する華僑華人も少なからず含まれております。

 日本の永住者は、 原則10年以上日本に在留し、懲役刑などを受けたことがなく、納税などの公的義務を履行するなど、他国に比べても厳しい条件をクリアしてその資格を得ており、これまで日本社会の発展に寄与してきました。本学会の永住者会員もまた、学術研究を通して日本の華僑華人研究のみならず、世界の移民研究、多文化共生社会についての研究に多大な貢献をしてきました。

 今回の改定には、日本に移住し、場合によっては世代を超えて日本社会に定住している永住者が、日常生活においてはありうるほんの一時的な在留カードの不携帯や、病気その他の理由による納税の遅延などの事由により永住許可を取り消される可能性が排除できない条文が含まれております。

 このような永住資格の取消についての入管の裁量を拡大する法律の導入は、日本に定住してきた華僑華人やその他の永住者にとっては、その生活の基盤が容易に、また突然に損なわれる危険性があるため、大きな不安要素となっています。本法は、多文化共生社会の実現を損なうばかりではなく、今後日本が外国の有為な人材から敬遠される国になる危険性を有しています。

 以上のことから、永住者に関わる入管法改定に当たっては、拙速な結論を求めるのではなく、多様な人々の生活基盤が守られる社会の実現に向けた法の在り方について熟議を重ね、見直していただくよう強く希望します。

 日本華僑華人学会理事会
2024年6月19日