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2012年
2011年以前
2013/12/27 | 日本華僑華人学会特別企画「東南アジアの中国系移民と身体の政治学」の案内を掲載しました。 |
2013/11/25 | 2013年度日本華僑華人学会研究奨励賞(単行本部門)の受賞者が決定されました。 |
2013/11/15 | 2013年度日本華僑華人学会第2回研究会の案内を掲載しました。 |
2013/11/11 | 2013年度第1回研究会の報告を掲載しました。 |
2013/10/22 | 2013年度年次大会(学会設立10周年記念大会)第2回サーキュラーを掲載しました。 |
2013/06/23 | 2013年度日本華僑華人学会第1回研究会の案内を掲載しました。 |
2013/06/23 | 2013年度研究大会のお知らせを掲載しました。 |
2013/04/27 | 2013年度日本華僑華人学会研究奨励賞(単行本部門)候補作推薦のお願いを掲載しました。 |
2013/04/06 | 2012年度華僑華人学会第2回研究会報告を掲載しました。。 |
2013/01/26 | 『華僑華人研究』第9号の刊行の案内を掲載しました。 |
2013/01/21 | 2012年度日本華僑華人学会第2回研究会開催の案内を掲載しました。 |
2013/01/21 | 2012年度華僑華人学会第1回研究会報告を掲載しました。 |
2013/01/21 | 2012年度華僑華人学会第1回特別企画報告を掲載しました。 |
■日本華僑華人学会特別企画「東南アジアの中国系移民と身体の政治学」■
日本華僑華人学会では、「東南アジアの中国系移民と身体の政治学」を総合テーマとする研究会を開催いたします。会員各位におかれましては、奮ってご参加くださいますようお願い申し上げます。 日本華僑華人学会・企画委員会
1日目 研究報告 2日目 平戸巡検
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■2013年度日本華僑華人学会第2回研究会■
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日時: | 12月14日(土)12:30~18:00 |
場所: | 立教大学池袋キャンパス太刀川記念会館第一・第二会議室 (pdf) |
プログラム
12:30~12:50 | 趣旨説明: 川口幸大(東北大学)・市川哲(立教大学) |
12:50~13:25 | 稲澤努(東北大学) 「現代の僑郷と人の移動―広東省東部の地方都市の事例から」 |
13:25~14:00 | 長沼さやか(静岡大学) 「広東省珠江デルタにおける僑郷の成り立ち―華僑のいる村といない村からの考察」 |
14:00~14:35 | 兼城糸絵(鹿児島大学) 「“移民”が支える神祇祭祀―福建省福州市のある僑郷の事例から」 |
14:35~14:50 | 休憩 |
14:50~15:25 | 小林宏至(日本学述振興会特別研究員) 「故郷からの災因論―21世紀におけるティピカルな風水事例から」 |
15:25~16:00 | 市川哲(立教大学) 「ルーツ・シーキングからルーツ・ツーリズムへ―パプアニューギニア華人にとっての僑郷と中国」 |
16:00~16:35 | 櫻田涼子(育英短期大学) 「語られ、共有される〈美しい過去〉―南洋華人とそのふるさと」 |
16:35~16:50 | 休憩 |
16:50~18:00 | コメント: 宮原曉(大阪大学)・総合討論 |
連絡: 川口幸大(yukihirokawaguchi[a]hotmail.com)
市川 哲(tetsu-i[a]kb3.so-net.ne.jp) (※[a]を@に換えてください)
2013年度日本華僑華人学会第2回研究会チラシ(pdf)
■2013年度第1回研究会の報告■
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日時: | 2013年7月20日(土)13:00-18:30 |
会場: | 奈良県文化会館 |
テーマ: | 華僑華人と政治参加 |
第1報告 馬曉華会員(大阪教育大学)「米国における華人の政治参加の歴史と現状」
本報告は、アメリカにおける中国系移民の歴史、出自や経済水準等の特徴を明らかにした上で、政治参加に関する論点を整理したものである。ハワイが中国系アメリカ人の政治参加の発祥地であること、さらに、1970年代冷戦期の台湾系とアメリカ政治、1980年以降の年収と教育水準の上昇による各政治参加組織やロビー活動の展開、1990年以降の新たな中国系政治団体や選挙政治との関わり等について興味深い報告がなされた。総じて、中国系アメリカ人の政治参加の歴史は浅く、限定されてきたことと、選挙政治への関わりが弱いことが指摘された。しかし、中国系移民がアメリカ政治に対する潜在力を保持していることは否めない事実であり、今後の展開が注目される。
第2報告 徐輝会員(大東文化大学)「日本における華僑学校と印僑学校の現状-東京中華学校とIISJ・GIISを中心に」
コメンテータ:陳来幸(兵庫県立大学)
東京中華学校とグローバルインディアンインターナショナルスクール(GIIS)を比較し、日本における華僑学校と印僑学校の教育の変遷、言語教育の現状、日本の教育法則の位置づけについて報告がなされた。陳来幸会員からコメントがなされ、東京における華僑と印僑の人口増加の背景や構造を明らかにするほか、比較研究の意義、焦点、博士論文の枠組みを再検討する必要性等について指摘があった。
第3報告 八尾祥平会員(早稲田大学)「1990年代以降における琉球華僑・華人の政治参加について」
1990年代以降の沖縄における琉球華僑・華人の地域社会における政治参加の実態を、台湾国民党および民進党と、日本の保守派と革新派の関係に基づき議論がなされた。台沖関係、琉球華僑総会、沖縄中華街建設等についても言及がなされ、一般的に「本国」との結びつきを重視する華僑・華人と異なり、現在の琉球華僑・華人は沖縄の地域社会に溶け込みつつあるとの議論が展開された。
第4報告 増田あゆみ会員(名古屋学院大学)「オーストラリアの華僑華人の政治参加-移民・民族政策との関連で」
オーストラリアの華僑華人社会の政治活動の変容を移民・民族政策を中心に言及がなされた。オーストラリアの学者から中国系移民の政治家の議会での代表性や政府・政党からの注目性が低く、政治的表出力(代表性)が低いと批判されている。これに対し、北京派と称される中国政府主導の愛国的政治運動や、台湾派の非公式なネットワークによる活動が多く展開されており、オーストラリアの白豪主義が多文化主義へ転換されることによって政治的表出力の上昇が期待できるのではないかと議論が展開された。
ディスカッション
華僑・華人の教育と政治活動(政治参加)についてディスカッションがなされた。
教育について、日本の華僑学校は民族教育を目的としているが、印僑学校のそれは如何なものなのか、シンガポールに拠点をもつインド国際基金(GIF)によって創設された印僑学校であるならば、その背景はどういったものなのか、詳しく分析する必要があるとの指摘があった。
政治参加の定義について、政治的アイデンティと文化的アイデンティの関係も問題、また華僑総会における日本国籍に帰化した華人の入会取扱いや、アメリカやオーストラリアの人口統計にある「中国系」の分類は自己意識の原則に基づくが、父系血統重視がされている傾向が伺える等、エスニシティやアイデンティティに及ぶ議論がなされた。
研究会参加者 14名(会員11名、非会員3名)
懇親会参加者 7名
【劉雯会員記】
■2013年度年次大会(学会設立10周年記念大会)第2回サーキュラー■1.日程・会場 日程: 2013年11月16日(土) ・17日(日) 会場: 慶應義塾大学三田キャンパス北館 (東京都港区三田2-15-45) ※懇親会会場は、北館内「ファカルティクラブ」です。 2.学会設立10周年記念行事 今年度の研究大会は、学会設立10周年記念大会として、大会第一日目に特別な企画を2つ設けております。第一は、中山大学(中国)人類学科特任教授で世界海外華人研究学会会長である陳志明先生をお迎えしての特別講演です。第二は「華僑華人研究の回顧と展望」と題する記念シンポジウムです。日本の華僑華人研究を批判的に捉えて、今後の展望を議論する機会となります。 3.プログラム
4.参加費 研究大会参加費: 一般会員2,000円、非会員2,500円、学生・優待会員1,000円 ※年次大会・懇親会の出欠は、申込用紙(日本華僑華人学会2013年度大会参加申込書(word))をご確認のうえ、11月4日(月)までにお知らせください。 (文責: 大会実行委員長 山本信人) |
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■2013年度華僑華人学会第1回研究会の案内■
2013年度、華僑華人学会第1回研究会を「華僑華人の政治参加」を総合テーマに、開催いたします。会員各位におかれましては、奮ってご参加くださいますようお願い申し上げます。 日本華僑華人学会・企画委員会
(要旨) 第2報告 第3報告 第4報告 |
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■2013年度研究大会発表者募集のお知らせ■日本華僑華人学会会員各位 大会実行委員長 山本信人 大会実行委員会では、本年度大会において個人もしくは分科会として研究発表を行う方を募集いたします。以下の応募要領をご確認のうえ、発表を希望される方は、添付の研究発表申込書を下記の申込先にご提出ください(できるかぎり電子メールでお願いいたします)。 1.大会日時・会場 2.発表資格 3.発表形式 4.応募期日 5.申込先・問合せ先 6.研究発表申込書 7.今後のスケジュール
日本華僑華人学会2013 年度大会実行委員会 (文責:河口充勇 大会実行委員) |
■2013年度日本華僑華人学会研究奨励賞(単行本部門)候補作推薦のお願い■日本華僑華人学会は、日本における若手研究者による華僑華人研究のよりいっそうの促進を図るために、以下のように、日本華僑華人学会研究奨励賞を設けています。 1.若手の本会会員の研究成果の中から、毎年優秀な著作(単著に限る)を原則として1 点選び、日本華僑華人学会研究奨励賞を授与する。 2.偶数年度は選考年度の前2年度に公刊された論文(雑誌論文、共著作の中の単著論文、刊行時に満40歳未満の会員の著作)を、奇数年度は同様に前2年度に公刊された単行本(刊行時に満45歳未満の会員の単著)を対象とする。2013年度においては、2011年度と2012年度(2011年4月1日より2013年3月31日)に公刊された単行本が選考対象となる。 3.日本華僑華人学会研究奨励賞に選考された著作の著者を年次大会で表彰し、表彰状と副賞(5万円)を授与し、作品名・要旨を本会会誌及び学会ホームページに掲載する。 4.日本華僑華人学会研究奨励賞は、理事会内に設ける日本華僑華人学会研究奨励賞選考委員会が、自薦及び他薦に基づいて候補作品を選び、常任理事会において決定する。ただし、『華僑華人研究』に掲載された論文については、刊行時に40歳未満のものは、自動的に審査に付される。 5.一度受賞した会員は、再度同じ部門(論文で受賞した場合は論文部門、単行本で受賞した場合は単行本部門)では受賞の対象にはならない。論文で受賞した著者が単行本で、あるいは単行本で受賞した著者が論文で応募することは可とする。但し、単行本で受賞した後応募する論文が、単行本の内容の一部である場合は対象外とする。 つきましては、下記の通り、本会会員の皆様から2013 年度の研究奨励賞候補作品の推薦を受け付けます。 記 1.推薦対象の著作 2.推薦の方法 3.推薦に必要な提出物の内容 4.提出物の送付先 応募は、電子媒体のみでも可。ただし、何らかのトラブルでメールの不着の危険性も排除できないので、郵送もされることを推奨する。メールの不着によって審査に付されないことがあっても、委員会は責任を負わない。 5.提出物の提出締切 6.選考結果の通知・授賞式
2013年4月26日 (文責: 三尾裕子 会員) |
■2012年度華僑華人学会第2回研究会報告■
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日時: | 2013年2月23日(土)14時〜17時 | |
場所: | 東洋大学白山キャンパス第三会議室 | |
テーマ: | 「ヨーロッパにおける中国系新移民――経済と社会の視点から」 | |
司会: | 玉置充子会員(拓殖大学) |
<第1報告> | ||
報告者: | 山本須美子会員(東洋大学) | |
論題: | 「EUにおける中国系アソシエーションと新移民の流入―イギリス・フランス・オランダの比較から―」 |
<第2報告> | ||
報告者: | 崔晨会員(拓殖大学) | |
論題: | 「ヨーロッパの華僑・華人経済概況と欧州債務危機による影響」 |
第1報告では、山本須美子会員が、EU内でも特に中国系人口の多いイギリス、フランス、オランダの中国系アソシエーションに着目し、その歴史的展開と新移民流入による変化を通して、新移民流入が各国の中国系コミュニティに及ぼした影響を比較検討した。
ヨーロッパの中国系移民は従来、いわゆる「サイレント・マイノリティー」と見なされ、東南アジアや北米、太平洋地域に比べて研究も少なかったが、1980年代以降中国本土からの新たな移民が流入したことと、EUの拡大・深化と相まって、特に1990年代後半から「ヨーロッパ」という枠組みでトランスナショナルに中国系移民を捉えようとする研究が多くなった。その中には各国の中国系アソシエーションに焦点、もしくは言及する研究もあるが、2000年代以降の文献はほとんどないのが実情である。今回の報告では、報告者の最近のフィールドワークから得られたデータに基づき、豊富な写真・映像を交えて、EUにおける華人アソシエーションの現状が示された。
新移民の流入による3国の中国系コミュニティおよびアソシエーションの変化に関し、報告者は次のように指摘した。イギリスでは、福建語や北京語の話者が多くを占める新移民は広東語話者が主流の旧アソシエーションには入らず、新しく立ち上げられたアソシエーションも継続せずに、新移民は既存のコミュニティの外側に位置づけられた不可視な存在となっている。フランスでは、新移民が集住して新しいアソシエーションを立ち上げ、新移民による中国系コミュニティの新たな拡大が可視化している。またオランダでは、新しいアソシエーションが多数設立される一方、浙江省出身者による旧アソシーエーションに新たに流入した浙江省出身者が加わり発展するなど、新移民を含みながら中国系コミュニティが拡大している。
そして、こうした違いは、新旧移民の出身地や使用言語、居住形態といった要因が複雑に絡み合って、新移民の流入が既存の中国系コミュニティにそれぞれ異なる変化を及ぼしたためだと結論づけた。
第2報告では、崔晨会員がヨーロッパにおける華僑・華人経済について、イタリア、スペイン、フランスの3国を取り上げ、中国系新移民の動向を踏まえて、各国の経済状況、華僑・華人企業数や業種、特徴、ビジネス社団組織、現地企業への影響などを概観するとともに、欧州債務危機が華僑・華人経済に与えた影響について分析を試みた。
欧州債務危機を背景に、2012年のEU主要国における失業率は平均10%を超えており、特に25歳以下の若年層の失業率が顕著である。このため、各国の移民政策は、かつての寛容なものから「選択的移民」に移行し、高度人材の受け入れが拡大する一方、非熟練労働者や不法労働者への規制・管理が強化されている。当然ながら、こうした変化は華僑・華人企業にも大きな影響を与えている。報告者は、現地社会の対応や華人以外の移民企業にも目配りした上で、欧州債務危機による華僑・華人企業および現地社会に対する影響について、中国製廉価製品の限界、市場が飽和状態となったことによる競争激化、中国系住民がターゲットとなる治安問題、中国への送金にからんだマネーロンダリング問題を指摘した。
以上の報告に対し、質疑応答では、各国でのアソシエーションのあり方に違いは見られるのか、不法移民およびその子供たちに対してどのような対応が採られているのか、ヨーロッパと中国を結ぶ新移民による独自の流通・貿易ルートがあるならそれは債務危機でどのような影響を受けているのか、といった質問がなされた。
また、両報告を通して、日本では紹介されることが少なく実態がつかみにくいヨーロッパの華僑・華人の現状や動向について、イギリス、フランス、オランダ、イタリア、スペインというEU主要各国の状況を社会、経済という異なる視点から比較することができ有意義であったとの感想が聞かれた。
研究会参加者7名(会員5名、非会員2名)、懇親会参加者4名【玉置充子会員 記】
■『華僑華人研究』第8号の刊行の案内■
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■2012年度日本華僑華人学会第2回研究会■
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日時: | 2013年2月23日(土)14:00-17:00 |
会場: | 東洋大学白山キャンパス第三会議室(6号館1階)
(サイトで確認) 【東京都文京区白山5-28-20 都営地下鉄三田線白山駅/東京メトロ南北線本駒込駅】 (サイトで確認) |
問合せ先: | 拓殖大学海外事情研究所付属華僑研究センター 玉置充子 mtamaki[a]ner.takushoku-u.ac.jp ([a]を@に換えてください) |
テーマ: | ヨーロッパにおける中国系新移民――経済と社会の視点から |
報告1: 山本須美子会員(東洋大学)
論題: EUにおける中国系アソシエーションと新移民の流入―イギリス・フランス・オランダの比較から―
(要旨)
ヨーロッパの中国系移民を対象とする研究は、東南アジアや北米や太平洋地域のそれに比べて少なかったが、1980年代以降中国本土からの新しい移民流入が増加したことと、EUの拡大・深化と相まって、特に1990年代後半からトランスナショナルな枠組みで中国系移民を捉えようとする研究が多くなった。
本発表の目的は、EU内で中国系人口の多いイギリスとフランスとオランダにおける中国系アソシエーションに着目し、その歴史的展開と新移民流入による変化を明らかにすることを通して、新移民流入が3国の中国系コミュニティに及ぼした影響を比較検討することである。なお、2000年代以降の3国の中国系アソシエーションに関する文献はほとんどなく、発表者のフィールドワークから得られたデータに基づいている。
報告2: 崔晨(拓殖大学)
論題: ヨーロッパの華僑・華人経済概況と欧州債務危機による影響
(要旨)
中国の改革開放政策が本格化した1990年代以降、中国から世界各地に向かう新たな移民が増加している。特にヨーロッパへの移民は、他の地域より増加率が高い。その背景には、中国の政策の変化およびそれによる中国人留学生の急増や彼らに付随する親族の増加がある。
こうした新移民の流入は、ヨーロッパの華人社会及び現地社会に様々な影響をもたらしている。本発表では、限られた情報や資料に基づくものではあるが、新移民の動向を踏まえてヨーロッパにおける華僑・華人の経済概況を分析する。主に欧州債務危機が華僑・華人経済に与えた影響について分析を試みる。
■2012年度華僑華人学会第1回研究会報告■
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日時: | 2102年12月8日(土)13時〜18時 | |
会場: | 東北大学文学部文学部棟2F大会議室 | |
テーマ: | 「僑郷華南の現在」 | |
主旨説明: | 川口幸大(東北大学) | 「僑郷華南の現在」 |
市川哲(立教大学) | 「海外華人研究と僑郷研究の連動の可能性」 | |
報告: | 川口幸大(東北大学) | 「豊かな僑郷―移住地と故郷の関係を再考する」 |
稲澤努(東北大学) | 「現代の僑郷における人の移動―広東沿海の一地方都市を事例として」 | |
兼城糸絵(東北大学) | 「人の移動と僑郷社会—福建省福州市の事例から」 | |
長沼さやか (日本学術振興会・ 東京外国語大学) |
「華僑のいる村、いない村―広東珠江デルタにおける村落の歴史と構造」 | |
コメンテーター: | 瀬川昌久 (東北大学) |
本研究会では、華南地域における具体的なフィールドワークの事例から今日的な華僑華人研究の展望を開くことを目的とし、4人のスピーカーの報告から、①移動ベクトルの現状、②「伝統復興」(あるいは「故郷の建設」)の担い手の変遷、③華僑/僑郷のイメージと実体の再考、という三つの問題系を検討した。
まず市川と川口が、それぞれ中国中心主義によらない海外華人研究と僑郷研究との連動の必要性、および「中国社会-華僑華人-僑郷」といったステレオタイプ化した理解に対する再考の必要性に関して問題提起を行った。
続いて第1報告として、川口は、広東省広州市番禺区S鎮の事例をもとに、僑郷研究がこれまでの「豊かな海外」/「貧しい僑郷」パラダイムが通用しない、新たな段階に入っていることを指摘した。
第2報告者の稲澤は、広東省汕尾市の事例をもとに、珠江デルタのように目覚ましい発展を遂げた地域とは異なる人の移動の特徴を、今日的な移動のベクトルとそれに果たす華僑の役割に注目しつつ、現地で出版された文学作品をも参照して分析した。
第3報告者の兼城は、福建省福州市の事例をもとに、現在の僑郷が移民を送り出す地であるとともに、受け入れる地でもあること、海外移民により僑郷の村落人口が減少する状況の中、外地人は他者として存在する一方で村落における儀礼を支える存在になっていることを明らかにした。
第4報告者の長沼は、明代から開発が進み比較的古くから人がんできた「民田」と呼ばれる地域と、清代や民国期になって開発が進み比較的新しく人が住むようになった「沙田」に注目し、「沙田」では大規模な宗族が発達せず、人々は海外にフロンティアを求めるよりも沙田というフロンティアの開拓に向かったこと、その結果、これらの地域では華僑の送出が進まなかったという可能性について指摘した。
以上の趣旨説明および四名の発表に対し、コメンテーターである瀬川からは、『僑郷華南』で行った国内移動と国際移動の連続性に関する議論は、国際移動を伝統的な村落社会の秩序と反する現象であると捉えたJ.ワトソンの研究に対する批判の意味があり、例えば国内で移動した人々は、はじめから大規模な宗族や分派を形成しようとして移住したのではなく、出身地と移住先との関係が一時的に切れたり再構築されたりする過程で、結果的に大規模な宗族の形成につながったのであり、それは海外移民にも共通して見られる現象であったという指摘がなされた。そして今日的な僑郷研究を行う意義とは、単なる最新の時事的な報告に留まるのではなく、僑郷における富や威信、成功者のロール・モデル等を地域社会のコンテクストに即して理解する必要があるというコメントがなされた。
その後、禁止されている移住先ほど憧れや祝祭性が高まるのではないか、今回の議論は広東の事例が中心であり、閩南の事例とはかなり異なること、僑郷に関する言説の作り方に注目するべきではないかということ、僑郷とは移民の送出が血縁的なイディオムから地縁的なイディオムに変換したのではないか等、質疑応答がなされた。
講演会参加者12名(会員6人、非会員6名) 懇親会参加者8名【市川哲会員 記】
報告書全文 (pdf)
■2012年度華僑華人学会第1回特別企画報告■
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日時: | 2102年10月27日(土)10時〜17時 |
会場: | 立教大学池袋キャンパス太刀川記念館三階 多目的ホール |
テーマ: | アジアのディアスポラ文学—日本とマレーシアの交流文学事例から |
第一セッション <ディアスポラの中の華人文学>
及川茜(神田外語大学)「言語意識から見る寓言:李永平と張貴興を例に」
舛谷鋭(立教大学)「“留学”を超えて—マレーシア女性華人作家の天路歴程」
廖赤陽(武蔵野美術大学)「日華文学と在日文学における歴史化と“私”:黒孩・柳美里・藤代泉をめぐって」
金恵俊(釜山大学)「韓国華人文学初探」
宮原曉(大阪大学)「コメント」
第二セッション <「日華文学」の創作と可能性>
田原(東北大学)「二つの言語のはざまで—二言語創作と詩歌の翻訳」
藤田梨那(林叢)(国士舘大学)「在日中国人の文学創作のビジョンと問題」
張石(中文導報)「東京の傷跡—経済格差と文化の衝突に導かれる愛情悲劇」
林祁(華僑大学)「“〜の間の詩人”の放逐と放題:田原論」
廖赤陽「コメント」
2012年10月27日、日本華僑華人研究学会と立教大学観光学部交流文化学科、大阪大学グローバルコラボレーションセンター共同主催の公開シンポジウム「アジアのディアスポラ文学—日本とマレーシアの交流文学事例から」が開催された。
開催場所の立教大学池袋キャンパス太刀川記念館三階多目的ホールには、海外からの講演者他、30名程度の研究者が集まり、アジアのディアスポラ文学について、他ならぬ華僑華人の文学状況を契機に議論された。
台湾海峡を挟むいわゆる両岸四地以外の中国語文学は非国語文学であり、また作家が居住地の国語文学に参加した場合も、多民族社会の中のディアスポラによる文学営為として、ポストコロニアル文学と捉えられるが、中南米、南米の例を除き研究途上にある。特に日本の華人文学(日華文学)研究は国内研究者にとって喫緊の課題だが、学術研究は個別のケースを除きほとんど行われていない。このシンポジウムでは、日本、韓国の事例を、アジアのディアスポラ文学研究としてほぼ確立したマレーシアの事例(馬華文学)と比較しながら、文学性そのものだけでなく、移民社会と地域社会の変容、アイデンティティの葛藤、バイリンガルと文化移動、ネィティブとディアスポラなどのテーマを、午前の研究者セッションと午後の実作者セッションに分かれて活発な議論がなされた。
特別企画参加者32名(会員10名、非会員22名)
懇親会参加者14名【舛谷鋭会員 記】
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