言語の戯れにおける文化的アイデンティティ――香港における『神獣』のエスノグラフィック的考察
12月23日(金)19:00-21:00(Google Meetオンライン)
Li, Kris Chung-Tai会員・大阪大学
2010年代前半における香港の政治と関与する語りがいかに他文化からの語りを流用し、自分の状況(=語りによるアイデンティティ)を語り直してきたかについて、バース記号学による類像性(またはアイコン性、Iconicity)の概念を軸に、言語人類学の視点から考察した研究発表。ゴールデン神獣カードというインターネット・ミームの消費そのものが、どのように香港と中国の間の政治的状況となっているのかについて論じようとした。政治的な状況は、それを解釈する言語に外在するという考え方が一般的である。しかし、Li, Kris Chung-Tai氏はそうではなく、特に香港にように領域性によってとらえることが必ずしも有効ではない対象の場合、政治的な状況は語られずに済むというわけにはいかず、語られたことそのものとして現れると主張するのである。