大会・研究会等の報告


大会・研究会等の報告を掲載しています。
過去の大会・研究会の案内等については、「過去のファイル」をご覧ください。



大会


2016年度大会の報告

2015年度大会の報告
2014年度大会の報告
2013年度大会の報告
2012年度大会の報告
2011年度大会の報告
2010年度大会の報告
2009年度大会の報告
2008年度大会の報告
2007年度大会の報告
2006年度大会の報告
2005年度大会の報告
2004年度大会の報告
2003年度大会の報告

講演会

2009年度第1回講演会の報告
2008年度第2回講演会の報告
2008年度第1回講演会の報告
2007年度第2回講演会の報告
2007年度第1回講演会の報告
2006年度第2回講演会の報告
2006年度第1回講演会の報告

研究会

2010年度第4回研究会の報告
2010年度第3回研究会の報告
2010年度第2回研究会の報告
2010年度第1回研究会の報告
2009年度第6回研究会の報告
2009年度第5回研究会の報告
2009年度第4回研究会の報告
2009年度第3回研究会の報告
2009年度第2回研究会の報告
2009年度第1回研究会の報告
2008年度第5回研究会の報告
2008年度第4回研究会の報告
2008年度第3回研究会の報告
2008年度第2回研究会の報告
2008年度第1回研究会の報告
2007年度第4回研究会の報告
2007年度第3回研究会の報告
2007年度第2回研究会の報告
2007年度第1回研究会の報告
2006年度第6回研究会の報告
2006年度第5回研究会の報告
2006年度第4回研究会の報告
2006年度第3回研究会の報告
2006年度第2回研究会の報告
2006年度第1回研究会の報告
第5回例会の報告
第4回例会の報告
第3回例会の報告
第2回例会の報告
第1回例会の報告

特別企画

2011年度第1回特別企画の報告
函館中華会館創立100周年記念シンポジウムの報告
2009年度特別企画(函館)の報告
2008年度特別企画(長崎)の報告
2008年度特別企画(函館)の報告
2006年度特別企画(沖縄)の報告


大会

■2016年度研究大会報告■

2016115日と6日に、2016年度の第14回年次研究大会が東京大学駒場キャンパスにて下記のプログラムのとおり開催されました。大会当日は天気にも恵まれ、参加者は50名(一般会員38名、非会員4名、学生・優待会員8名)にのぼり、全学会員の4人に1人近くが駒場の地で年次大会に参加したことになります。北は北海道、南は次回の年次大会の開催地である長崎からかけつけてくれました。また、海外会員の参加もあり、2日間にわたって熱のこもった議論が繰り広げられました。

1日目は開催校企画シンポジウム「「華僑・華人学」における対象の規定性を超えて」が開催されました。今年に入って、『「華人」という描線―行為実践の場からの人類学的アプローチ』、『僑郷―華僑のふるさとをめぐる表象と実像』という2冊の論集が刊行され、「華僑・華人学」が不可避的に孕む循環論的な議論構成に一石を投じました。シンポジウムでは編集・執筆に関わった学会員が話題提供者となり、コメンテータとフロアを含めて活発な議論が交わされました。

 その熱気は懇親会にそのまま持ち込まれました。参加者は35名(一般会員28名、非会員1名、学生・優待会員6名)にのぼりました。

2日目は5つの個人発表が行われました。今大会では、報告の申し込み時に提出する概要の字数制限を引き下げることで、より多くの方が発表できるよう促すとともに、学生会員が報告する際には質疑応答の時間を長めに設定することで十分な討論が行われるようするなど、いくつかの工夫を行いました。5つの個人発表のうち3つは大学院生によるものでしたが、異なる所属先のさまざまなディシプリンの学会員からコメントをもらうことができ、報告者は学会活動の醍醐味を味わうことができたことと思います。白熱した質疑応答は、改めて学会の持つ役割を感じさせるものでした。

 

プログラム

第一日目】11 5 日(土)

11:00-13:00

理事会

13:30

受付開始

14:00-17:15

開催校企画シンポジウム

「「華僑・華人学」における対象の規定性を超えて」

・趣旨説明: 津田 浩司(東京大学)

・話題提供: 川口 幸大(東北大学)

       櫻田 涼子(育英短期大学)

       奈倉 京子(静岡県立大学)

・コメント: 三尾 裕子(慶應義塾大学)

       宮原 曉 (大阪大学)

17:30-18:15

総会

18:30-20:00

懇親会(ルヴェソンヴェール駒場)

 

【第二日目】11 6日(日)

10:30-11:45

個人発表

10:30-11:05 郭 文琪(大阪大学大学院・博士課程)

「中国系ニューカマーの多様性と“Sinicization”―中国朝市の事例」

 

11:10-11:45  曹 臻(大阪大学大学院・博士課程)

「日本コンテンツの変貌と実態調査―東アジアにおけるコンテンツ産業の生産と消費」

11:45-13:15

昼休み

13:15-15:00

個人発表

13:15-13:50 易 星星(兵庫県立大学大学院・博士課程)

 「中国旅行社の国際展開と華僑華人(19231949年)」

 

13:55-14:25 奈倉 京子(静岡県立大学)

 「「普通話世界」の拡大と「華語世界」との接触―マレーシアから中国へ留学する華人新世代の事例を中心として」

 

14:30-15:00 近藤 秀将(行政書士法人KIS近藤法務事務所)

「在日華人華僑新聞の現状について―エスニック・メディアにおける商業主義への変容」

 

(文責: 谷垣真理子 大会実行委員長)

大会の写真


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■2015年度研究大会報告■

2015年度の第13回年次大会は、以下のプログラムの通り、2015年11月14日と15日に、京都大学稲盛財団記念館にて開催されました。秋の京都での開催、しかも今年は空前の訪日外国人観光客ブームということで、宿泊先の確保がたいへんむずかしく、参加者の少ないことがあらかじめ心配されましたが、2日間を通じ、47名(会員38名、非会員9名)の参加者があり、盛況のうちに終了いたしました。

今年度の大会では、一日目に5つの個人発表を行いました。日本や東南アジアでの事例研究のほか、世界の華僑華人のあいだで用いられる華語のあり方から、中国本土での人口移動まで幅広い分野の発表が行われ、活発な議論がなされました。

今大会では上記個人発表に加え、大会実行委員会企画シンポジウムおよび大会分科会を二日目に設けました。午前のシンポジウムは、「華僑華人からみた宗教」という題目のもと、5名の発表者がそれぞれ異なるフィールドからの事例報告を行いました。コメントとそれに引き続く全体討論においては、華僑華人研究の前提の再検討を含め、本学会の立脚点を改めて問い直しつつ再確認する有意義な問題提起が多くなされました。

また午後の大会企画分科会では、ベトナム国チャビン省の華人宗教施設についての3つの報告の後、3人のコメンテーターがコメントを行い、フロアからの質問とコメントも多く出されて、予定時間を10分延長しての熱のこもった討論が行われました。

プログラム

第一日目:  11月14日(土)
10:00-11:00 次期理事候補者会議
11:00-13:00 理事会
13:00 受付開始
13:30-16:00 個人発表
  司会:  宮原曉(大阪大学)
  13:30-14:00    岡野翔太(大阪大学大学院)  「在日中華民国系華僑団体の再編―新来性に注目して」
  14:00-14:30    曽明樺(早稲田大学大学院)  「サラワク・詩巫(シブ)における福州人ネットワークの形成と発展 ―リンブナン・ヒジャウ・グループのケース・スタディ」   14:30-15:00    王維(長崎大学)  「特殊な社会空間―ラオス・ヴィエンチャン三江中国城」
  15:00-15:30    藤井久美子(宮崎大学)「『全球華語詞典』の出版がもたらす「華語」の再定義」
  15:30-16:00    周飛帆 (千葉大学)  「都市化における国内移動と国際移動―中国の都市新移民研究との接点を考える」
16:30-17:30 総会

第二日目:  11月15日(日)
9:00-13:00 シンポジウム「華僑華人からみた宗教」
  司会:  三尾裕子(慶應義塾大学)
  9:00-9:10    片岡樹(京都大学) 趣旨説明
  9:10-9:35    王柳蘭(京都大学)  「神戸華人とキリスト教―内なる社会への眼差しと繋がりの場をめぐって」
  9:35-10:00    モリカイネイ(立命館大学大学院)  「華人、華語、プロテスタンティズム ―トランスナショナルな文脈からみた華人キリスト者事情」
  10:00-10:25    奥村みさ(中京大学)  「シンガポールの華人系英語話者における宗教とエスニシティ」
  10:25-10:50    伏木香織(大正大学)  「シンガポールの中元節」
  10:50-11:15    片岡樹(京都大学)  「タイ国の中国系大乗仏教」
  11:35-11:50    津田浩司(東京大学) コメント 1
  11:50-12:05    長谷千代子(九州大学) コメント 2
  12:05-13:00    総合討論
14:00-16:30 大会企画分科会「ベトナム国チャビン省華人宗教施設調査報告」
  司会:  芹澤知広(奈良大学)
  14:00-14:25    芹澤知広(奈良大学)  「チャウタン県の関帝廟の盂蘭盆に見る華人の文化変容」
  14:25-14:50    野上恵美(神戸大学大学院)  「カウガン県の明徳儒教大道・至善明寺・孔子聖殿の活動」
  14:50-15:15    土屋敦子(神戸大学大学院)  「ある宗教施設の復興と華人―チャクー県ダイアン社の明郷庭を事例に」
  15:30-15:45    大野美紀子(京都大学) コメント 1
  15:45-16:00    潘宏立(京都文教大学) コメント 2
  16:00-16:15    末成道男(国立民族学博物館) コメント 3
  16:15-16:30    総合討論

(文責: 片岡樹 大会実行委員長)

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2015年度研究大会風景1 2015年度研究大会風景2 2015年度研究大会風景3 2015年度研究大会風景4

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■2014年度大会報告■

2014年度の第12回研究大会は、11月29日・30日の2日間にわたり早稲田大学早稲田キャンパスにて行われました。プログラムは下記のとおりです。

プログラム

【第一日目】11 月29 日(土)
総合司会: 陳天璽
13:00-13:05 開会挨拶: 曽士才(法政大学)
13:05-17:35 開催校企画(早稲田大学3 号館4 階401 室)
タイトル: 華人とは何か?華人3 世、2 世、1.5 世の語りから見る在日華人意識の変容
司会: 楊立明(早稲田大学)
パネリスト: 陳來幸(兵庫県立大学)、陳天璽(早稲田大学)、横山和江(写真家)、小川堯洋(朝日新聞)、吉永百慧(早稲田大学国際教養学部)
コメンテーター: 杉村美紀(上智大学)、山本須美子(東洋大学)、佐々木てる(青森大学)
17:45-18:30 会員総会
19:00-21:00 懇親会(大隈会館2階201・202室)

【第二日目】11月30日(日)
10:00-12:00 自由研究報告 自由研究報告Ⅰ
司会: 王雪萍(東洋大学)(早稲田大学3号館4階401室)
鶴園裕基(早稲田大学大学院)「戦後入管体制下における在日台僑の在留資格問題―国府外交部の対日交渉過程(1965-1972)からの検討」
松野友美(筑波大学大学院)「南京国民政府の地域統合の試みとシンガポール福建人―厦門僑務局設立(1934)後の移民運送事業に着目して」
劉雯(兵庫県立大学大学院)「日本における華人プロテスタント教会の設立と交錯するネットワーク―アメリカ南長老教会宣教師が関係した大阪と神戸の教会を例に」

自由研究報告Ⅱ
司会: 三尾裕子(東京外国語大学)(早稲田大学3号館4階402室)
横田祥子(滋賀県立大学)「商業的国際結婚の戦略―インドネシア西カリマンタン州シンカワン市一帯の事例から」
徐輝(大東文化大学大学院)「日本から母国に帰った元留学の生活実態に関する一考察―インタビューを中心に」
中谷潤子(大阪産業大学)「若手インドネシア華人のアイデンティティ変容―時代と世代に注目して」
13:00-16:00 分科会企画(早稲田大学3号館4階401室)
タイトル: 「潮州人」エスニシティの形成と潮州善堂文化
報告者: 志賀市子(茨城キリスト教大学)「分科会趣旨説明―『潮州人』エスニシティの歴史的形成と潮州善堂文化」
芹澤知広(奈良大学)「ベトナムにおける潮州善堂文化の現在」
黄蘊(関西学院大学)「マレーシアとシンガポールの潮州系善堂における葬儀(経楽)サービスとネットワーク」
玉置充子(拓殖大学)「タイの潮州系華人団体における儀礼の継承と展開」
石高真吾(大阪大学)「タイに同化する潮州人文化―慈善行為を通しての試論」
コメンテーター:帆刈浩之(沖縄県教育庁文化財課史料編集斑)

(文責: 広報委員会)

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■2013 年度大会(学会設立10 周年記念大会)報告■

2013 年度の第11 回年次大会は、日本華僑華人学会設立10 周年記念大会として、11 月16 日・17 日の二日間にわたり、慶應義塾大学(東京)にて開催されました。研究大会には会員・非会員を合わせてのべ75 名の参加があり、中国琴(古箏)の演奏を交えた懇親会では50 名の出席がありました。このように盛況の内に大会を終えることができました。また今回は下記のプログラムにあるように、2 つの英語でのセッションが設けられたことは特筆すべきことであります。

今年度の研究大会は、学会設立10 周年記念大会として、大会第一日目に特別な企画を2 つ設けました。第一は、中国・中山大学人類学科特任教授で、世界海外華人研究学会会長である陳志明先生をお迎えしての特別講演です。第二は「華僑華人研究の回顧と展望」と題する記念シンポジウムです。日本の華僑華人研究を批判的に捉えて、今後の展望を議論する機会となりました。大会第二日目には、会員の自由発表7 本が揃いました。日本、東南アジア、東アジアに関する興味深いテーマの報告をお届けすることができました。さらに第二日目の午後には、陳教授の特別講演を受ける形で、東南アジアにおける中華料理ビジネスを人類学的に考察する英語セッションが開催されました。それぞれのセッションではいずれも力のこもった報告があり、それを受けて時間を超過するほど活発な議論がもたれました。

なお、大会開催に合わせて、学会設立10 周年記念事業実施委員会の編集で、本学会の10 年間の歩みをまとめた小冊子が配布されました。また上記2 つの特別企画については、2014 年度の学会誌に特別記事として掲載される予定です。

プログラム

【第一日目】11 月16 日 (土)
13:00-14:00 SPECIAL LECTURE (北館ホール)
Speaker: TAN Chee-Beng (Professor at Sun Yat-sen University and the President of the ISCCO)
Title: “Chinese Overseas: Migration, Food and Identity”
Moderator: MORIKAWA Makio (Doshisha University)
14:15-17:35 学会設立10 周年記念シンポジウム「華僑華人研究の回顧と展望」 (北館ホール)
司会: 曽士才 (法政大学)、三尾裕子 (東京外国語大学)
討論者: 陳來幸 (兵庫県立大学)、山下清海 (筑波大学)
篠崎香織 (北九州市立大学) 「華人と政治―ポスト権威主義体制の東南アジアを中心に」
園田節子 (兵庫県立大学) 『内側』からの歴史の模索―カナダおよびカリブ海地域華僑史研究の発展と運動」
陳天璽 (早稲田大学) 「中華学校の変容と華僑華人研究への問い」
木村自 (大阪大学) 「ディアスポラ論の展開と華僑華人研究」
川口幸大 (東北大学) 「僑郷の現在―新たなパラダイムに向けて」
17:45-18:15 総会 (北館ホール)
18:30-20:00 懇親会 (ファカルティクラブ)

【第二日目】11 月17 日 (日)
自由研究発表 (北館ホール)
09:00-10:00 日本
徐輝 (大東文化大学大学院) 「在日新華僑の生活実態に関する研究―築地市場で勤めている福建省からの元留学生の事例を通じて」
張泓明 (金沢大学大学院) 「石川県の中国人社会―日本の中の一地方社会を例として」
10:15-11:45 東南アジア
長田紀之 (アジア経済研究所) 「植民地期ビルマの華人とラングーンの治安維持―華人犯罪者追放関連文書から見る」
松村智雄 (東京理科大学) 「西カリマンタン州の華人とインドネシア国家との相互作用の過程―スハルト体制期を中心に」
曽明樺 (早稲田大学大学院) 「マレーシア華人社会と危機感について」
13:00-14:00 香港・韓国
和仁廉夫 (ジャーナリスト) 「香港・保釣行動委員会―「尖閣」上陸活動家の歴史と現在」
尹秀一 (創価大学) 「韓国・済州島の華僑社会―華僑小学校の運営を中心に」
14:15-16:45 Breakout Session (北館ホール)
“Anthropological Studies on the Localization of Chinese Food Business in Southeast Asia: Restaurant, Café, and Farm House”
Panel convener: SERIZAWA Satohiro (Nara University)
Moderator: MIYABARA Gyo (Osaka University)
SERIZAWA Satohiro (Nara University) “Localization of Chinese Cuisine in Vietnam: Findings from the Research on the Chinese Restaurants in Hanoi”
SAKURADA Ryoko (Ikuei Junior College) “An Imaginary Homeland and Emerging Café Culture on the Malay Peninsula: Kopitiam, Nostalgia, and Collective Memory”
ICHIKAWA Tetsu (Rikkyo University) “From Cave to Farm House: Edible Bird’s Nest Trade in Contemporary Sarawak, Malaysia”
Discussant: ISHITAKA Shingo (Osaka University)

(文責: 山本信人 大会実行委員長)

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■2012年度大会の報告■

今年度の第10 回年次大会は、11 月10・11 日に九州大学西新プラザ(福岡)で開催されました。両日で研究大会には会員・非会員あわせて約50 名が参加しました。

10 日午後1 時30 分より分科会「中国人留学生の送出政策と修学後の進路をめぐる諸問題」(代表者: 阿部康久)が行われました。発表者と題目は、王雪萍(東京大学): 「改革・開放後中国の国費留学生派遣政策の変容と留学生の選択―国家政府の意思と留学生の個人意思の攻防」、戴二彪(国際東アジア研究センター): 「中国の高等教育における帰国留学生の役割―「日本留学組」と「欧米留学組」の比較」、阿部康久(九州大学)・孫艶(九州大学・修了生): 「日本の地方都市における中国人元留学生の就業状況と継続意志―福岡県を事例として」、でした。各報告は個々の発表としても力作であった上に、中国人留学生の送り出し時の状況と修学後の進路についてバランスのよい構成だったとのお褒めの言葉を頂くことができました。

分科会終了後には総会・懇親会も行われました。西新パレスにて行われた懇親会には30 名あまりの参加者があり、学会賞の表彰式なども行われ盛会でした。

11 日の午前9 時30 分からは公募による研究発表が行われました。発表者と題目は、土屋敦子(神戸大学・大学院生): 「明郷の三賢家―ホーチミン市、明郷嘉盛亭の祖先祭祀を事例に」、モリ・カイネイ(立命館大学・大学院生): 「華人系プロテスタント教会のネットワークの形成―宣教団体「中国信徒布道会(Chinese Christian Mission)」の事例を通して」、永井智香子(長崎大学): 「「新華僑二世」のアイデンティティを探る」、石川朝子(大阪大学・大学院生): 「グローバル化時代における日本華僑華人の教育戦略―三世以降へのインタビュー調査から」、八尾祥平(早稲田大学): 「1990 年代における沖縄中華街構想の挫折について」、でした。いずれも興味深い発表内容でフロアからも多くの質問・コメントが寄せられ、活発な議論が行われました。

午後1 時30 分からは、外部から講演者を招待してシンポジウム「エスニック文化の資源化と華人エスニシティ」(代表者: 張玉玲)が開催されました。代表者である張玉玲(山口県立大学)会員による趣旨説明の後、以下の方々による発表が行われました。張玉玲: 「「文化に生きる」―横浜中華街の新たな発展戦略について」、王維(香川大学): 「ロンドン・チャイナタウンと文化空間―日本との比較の視点から」、陳優継(株式会社四海楼): 「ちゃんぽんと長崎華僑」、池田尚己(長崎市経済局文化観光部): 「長崎に息づく中国文化とランタンフェスティバル」。エスニック文化の資源化をめぐる理論的枠組みについて、大変熱のこもった議論がなされるとともに、長崎の名物料理ちゃんぽんやランタンフェスティバルの資源化をめぐる長崎華僑と行政担当者の方による具体的な事例紹介も大変興味深く、こちらも参加者の方から高い評価を頂くことができました。

最後に本大会開催にあたり、多くの会員の皆様及び後援を頂いた九州大学大学院比較社会文化研究院から多大な御協力を賜りました。心より御礼申し上げます。

(文責: 阿部康久 大会実行委員長)

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■2011年度大会の報告■

今年度の第9回年次大会は、11月12・13日に南山大学(名古屋)で開催され、会員・非会員あわせて研究大会には約50名、大学教職員食堂で行われた懇親会には約30名が参加しました。
公募研究報告は、13日の午前中に4名の会員により行われ、活発な議論が続きました。分科会は、華僑華人をめぐるイシューについて地域横断的に考察するセッション(分科会1)と、限定された地域の華僑華人からその国・社会について考察するセッション(分科会2)を行いました。12日の分科会1「多文化教育と華人・華僑社会―EU、マレーシア、日本及び中国の視点から―」では、社会的マイノリティへの教育機会の保障を目的として始まった多文化教育が、グローバリゼーションが進むなかで変質してきたことを、日本・マレーシア・フランスといった複数の地域の華僑華人の事例・視点から重層的に浮き彫りにしました。13日にひらかれた分科会2「ポスト・スハルト期のインドネシア華人をめぐって」では、華人をとりまく政治経済構造・文化・宗教という視座から、社会環境が大きく変化するポスト・スハルト期のインドネシアの姿が明らかにされました。

公募報告と分科会を通し、一方ではグローバリゼーションの進行により国民国家やイシューが変質するなかで、他方では研究環境のグローバリゼーションが進むなかで、変化を捉える視座としての「華僑華人」の可能性が示されました。
 大会開催にあたり、多大なご協力をいただいた会員の皆様に心より御礼申し上げます。


12日
11:30-13:15 理事会
13:30-16:00 分科会1 テーマ: 「多文化教育と華僑華人」
 代表: 楊立明(早稲田大学国際教養学部)

 裘暁蘭(上海社会科学院)
  「多文化教育と華僑・華人―華僑学校の教育変容を中心に」

 周飛帆(千葉大学言語教育センター)
  「家庭における教育戦略とその形成過程―滞日中国人ニューカマーを中心に」

 杉村美紀(上智大学総合人間科学部)
  「『国際移動時代の多文化教育』をめぐる国家と華人の教育戦略―マレーシアの事例」

 山本須美子(東洋大学社会学部)
  「EUの学校における中国系新移民受け入れの現状―フランス・パリの事例を中心として」
16:30-17:30 総会
18:00-20:00 懇親会
13日
9:30-11:50 研究発表
 司会: 小林幹夫(愛知学泉大学コミュニティ政策学部)

 持田洋平(慶應義塾大学大学院文学研究科 後期博士課程)
  「シンガポール華人社会の近代の始まりに関する一考察―林文慶と辮髪切除活動を中心に」

 山本信人 (慶應義塾大学法学部)
  「戦間期東南アジアにおける『中国問題』」

 甘利弘樹 (大分大学教育福祉科学部)
  「大学における華僑・華人・チャイナタウンの授業実践―工夫と課題」

 藤村是清 (放送大学)
  「『華僑ポート』統計(1855-1940)に基づく移民趨勢の考察」
13:00-15:30 分科会2 テーマ: 「ポスト・スハルト期のインドネシア華人をめぐって」
 代表: 貞好康志(神戸大学大学院国際文化学研究科)

 相沢伸広(アジア経済研究所)
  「ユドヨノ政権下における華人・中国問題―スハルト政権時代との比較」

 北村由美(京都大学東南アジア研究センター)
  「ポスト・スハルト期インドネシアの華人出版物にみられる自己イメージ」

 津田浩司(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所)
  「『華人の伝統宗教』の現在―寺廟における教義・儀礼の体系化をめぐって」

 コメント:
  市川 哲(立教大学観光学部)
  宮原暁(大阪大学グローバルコラボレーションセンター)

(文責: 大井由紀会員)

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■2010年度大会の報告■

2010年11月13日(土)、14日(日)の二日間にわたり、日本華僑華人学会2010年度大会(第8回大会)が横浜山手中華学校を会場として開催された。

第1日目の13日(土)午後に行われたエクスカーションには、46名(一般会員24名、学生会員7名、非会員15名)が参加した。横浜山手中華学校の見 学では、潘民生校長・張岩松教諭の丁寧なご案内で参加者から熱心な質問が寄せられ、予定時刻を越えての見学となった。次にむかった中華義荘では中華会館の ご厚意により、墓所や地蔵王廟のほか、通常は非公開のお棺の保管庫も見学した。中華街では媽祖廟・関帝廟でそれぞれの事務局の皆様より丁寧な説明を受け た。

夕方の懇親会は中華街の菜香新館で開かれ、42名(一般会員31名、学生会員6名、非会員5名)が参加した。大会実行委員であり、同店の経営者である曽徳深会員より、料理についての蘊蓄のある解説で会はさらに盛りあがった。

14日(日)の大会に参加者が78名(一般会員47名、学生会員9名、非会員22名)にのぼった。午前中は二つの会場で、合計8本の充実した報告がなさ れた。午後のシンポジウム「華人とはだれか―教育とアイデンティティ」では、横浜山手中華学校という臨場感あふれる中で、現在の日本の華僑学校が抱える問 題について、日本の教育行政の問題や地域による違いなどが報告・議論された。なお、シンポジウムについては、2010年11月16日(火)の毎日新聞神奈 川県版で報じられるなど、学会外にも反響も呼んだ。

今回の大会開催にあたっては、まずは学校の利用をご快諾いただき多大なご協力をいただいた横浜山手中学校に感謝申し上げたい。また、APEC首脳会議の 当日という、交通や宿泊の不便を乗り越えて参加してくださった各位、また大会実行委員の小熊誠氏、曽徳深氏、陳天璽氏、符順和氏、さらに献身的にお手伝い いただいた神奈川大学の学生諸君に感謝の意を表したい。

(伊藤泉美会員・記)

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■2009年度大会の報告■

去る11月14日(土)と15日(日)の両日、日本華僑華人学会2009年度大会(第7回大会)が52名の参加者を集め、大阪大学中之島センターで開催されました。

今大会では、3つの分科会を組織しました。分科会1「『華』を問う-歴史・地域比較から捉え直す華僑・華人へのアプローチ」(代表:園田節子会員)は、「華」とはなにかを問い直すことで、移民側から出身国「中国」の在り方を相対的かつ複眼的に考察しようとしたものであり、地域的、あるいは年代的に多様な事例を紹介しつつ、本質主義的言説からの脱却をねらった野心的な分科会でした。

また、分科会2は、京都大学に客員としてご滞在中のマンチェスター大学の劉宏氏、大阪教育大学の馬曉華氏をゲストに迎え、“Politics or Culture? : Rising China and Diasporic Chinese”という緩やかなテーマで4つの発表をならべました。なお、本分科会は、大阪大学グローバルコラボレーションセンターとの共催により、英語で行いました。日本には、毎年、多くの外国人研究者が招聘されています。そのなかには、本学会にて英語や中国語による研究発表を行いたいと希望している研究者も少なからずいます。こうした研究者を制度として学会に取り込んでいくことは困難さもありますが、今後とも、分科会などを活用することで、研究大会の場におけるこうした研究者との交流が進んでいけばと思っています。

分科会3は、「華僑華人文学の過去・現在・未来」(代表:舛谷鋭会員)と題する華僑華人文学に関する分科会でした。華僑華人文学は、華僑華人研究でも重要な分野の一つであり、今年度の大会で本分科会を持てたことは、それだけで会員の新たな関心を掘り起こす意味があったのではないかと思っています。様々な専門分野、様々な立場の華僑華人研究者が心地よいと感じる空間を用意することが、今大会のテーマの一つでもあったわけですが、今後、様々なテーマの分科会が開かれ、私たちの関心が広がっていくことを期待したいと思います。

2日目の午前中に行われた一般発表は、ある意味で3つの分科会以上に、今後の華僑華人研究を展望する上で深く考えさせられるものでした。今回の発表では、奇しくもベトナムに関係する報告と韓国に関係する報告が二つずつあり、僑郷に関する報告と日本に関する報告が一つずつありました。こうした個人発表が一つの会場で多くの会員の前で行われることは、萌芽期にある学会にとってきわめて重要なことを改めて感じました。惜しむらくは、エントリー数が少なかったことで、来年度は、ぜひ多くの会員が奮ってエントリーしていただけるよう、次回の大会委員になりかわってお願いしたいと思います。

2日目の午後は、厦門大学の庄国土先生による公開特別講演「グローバル経済の中の中国の国家戦略と華僑華人」が60名を超える参加者を集めて行われました。この講演は、日本大学中国アジア研究センター長である清水純会員の計らいにより実現しました。ご講演では、中国の外交史や日中関係、外交戦略における華僑華人の役割など多岐にわたる点について、一般の方にもわかりやすくお話しいただきました。なお、本講演は、大阪大学グローバルコラボレーションセンターとの共催により、中国語で行われました。中国語から日本語への通訳は、横田祥子会員に担当いただきました。

大会1日目終了後、大阪市内にある上海新天地・皇宮にバスで移動し、懇親会を開催しました。懇親会にはゲストを含めて38名が参加し、しばし大阪のなかの中国を堪能しました。

本大会は、新型インフルエンザの影響もあって、必ずしも盛大というわけにはいきませんでしたが、一般発表、分科会、公開講演会いずれもあらためて同じ華僑華人を研究テーマとする様々な分野の専門家が集まることの意義を思い知らされた二日間でした。また、図書の展示・即売のためのスペースと時間をとったことで、華僑華人研究を側面から支える出版社、書店と研究者のコミュニケーションを促すこともできたのではないかと思っています。


(大会プログラム pdf資料)

分科会 庄国土先生による公開特別講演 懇親会

(宮原曉 記)

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■2008年度大会の報告■

去る11月15日(土)に日本華僑華人学会2008年度大会が,筑波大学(茨城県つくば市)で開催された。
 今回の大会の参加者数は42名(うち非会員4名)で,遠くは北海道,大分県などからの参加もあった。
 大会では,以下のとおり,8件の一般発表があり,その後,濱下武志氏(龍谷大学,本学会会長)による講演が行われた。
 また,大会終了後,学内のレストンで懇親会が開催された(参加者29名)。

<一般発表>
奈倉京子(廈門大学〔ポストドクター研究員〕,学生会員)
 「帰」との対話:日中間を生きる人々
許瓊?(兵庫県立大学大学院経済学研究科,学生会員)
 戦後中華民国の華僑政策と神戸中華同文学校の再建
小川正樹(函館ラ・サール高等学校,一般会員)
 戦前期における北海道華僑の形成と函館中華会館
伊藤泉美(横浜開港資料館,一般会員)
 横浜華僑華人の一系譜-安楽家の歴史
王雪萍(関西学院大学言語教育研究センター,一般会員)
 戦後留日学生・華僑の帰国から見る中国政府と在日中国人の歴史認識:1949-1958
尹秀一(創価大学,一般会員)
 中国における海外出稼ぎにともなう教育の問題-延辺朝鮮族自治州を中心に-
黄蘊(北陸大学,一般会員)
 マレーシアにおける華人の上座仏教信仰の実践-ペナンのあるスリランカー寺院の事例を例として
藤井久美子(宮崎大学教育文化学部,一般会員)
 バンクーバー・オールドチャイナタウンでの言語生活-広東語・北京語・英語の使用割合-

濱下武志会長の講演での質疑応答


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■2007年度大会の報告■

本学会の第5回大会(2007年度大会)が11月17日土曜日に東京都港区の慶應義塾大学で開催されました。幸い好天にも恵まれて参加者は70名を越え、懇親会にも40名以上の参加者がありました。会員の皆様のご協力により無事終了できました。

以下に簡潔に報告します。午前10時から午後1時までA、B、Cの3会場に分かれて15件の発表がなされた(一般発表プログラム (pdf))。A会場では東アジアの華人華僑に関する発表が、B会場では東南アジア、特にタイ、マレーシア、インドネシアの華人に関する発表が行われた。C 会場では、本学会初の試みとしてパネル「中国系移民の土着化・クレオール化・華人化についての歴史人類学」(代表:三尾裕子会員)が持たれ、ベトナム、フィリピン、パプアニューギニアの中国系移民について文化人類学や歴史学の分野からの発表がなされたのに対して、コメントは経済学分野の古田和子会員からなされた。多分野の研究者が会員になっていることは本学会の特色の一つであるが、今後もこうした大会企画が継続する事が期待されよう。 

午後2時からは共通論題「華僑華人パラダイムを越えて」が開催された。この共通論題は大会委員会の要請を受けた宮原暁会員により企画の原案作成がされ、講演者の招聘手続きまでご尽力頂いた。キャロライン・ハウ氏(京都大学)の講演「『華僑華人像』の文化政治学」と、ディスカッサントであった山本信人会員の発言につづいてフロアーから会員の質問がつづいて、論議が盛り上がった。

総会に引き続いて、隣接するファカルティークラブを借り切って開かれた懇親会には多くの会員のほか来賓2名が招待された。お一人は、本学会に学会誌の刊行助成をして下さっている東華教育文化交流財団理事長の江洋龍氏であり、もうひと方は、慶應義塾大学法学部長で前東アジア研究所長の国分良成氏であった。お二人からはお心のこもった有意義なスピーチがなされた。7時に散会するまでには、斯波義信前会長、各委員会や地方の代表などから挨拶があり、最後には次期開催校である筑波大学の山下清海副会長から挨拶があった。

(文責: 吉原和男会員)

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■2006年度大会の報告■

去る11月18日(土)に日本華僑華人学会2006年度大会が同志社大学(新町キャンパス)で開催された。今回の大会には59名(うち非会員の方10名)が参加し,大会会場では終始,活発な議論が交わされた。そして,大会終了後、学内のレストランで懇親会が開催され,28名(うち非会員の方3名)が参加した。懇親会会場では和やかな雰囲気のなか交流が深められた。

一般発表 (pdf)(10:00~13:00)  発表数12件

講演 (pdf)(14:30~15:50)
 講演者:Prof. Bernard P. Wong (San Francisco State University)
 演 題:"From Overseas Chinese, Ethnic Minority to Cultural Diaspora:
       Globalization, Citizenship and Reverse Migration"

総会(16:00~17:00)

懇親会(17:30~19:30)
 アマーク・ド・パラディ寒梅館 (同志社大学 寒梅館1F)

なお,来年度の大会は,慶応義塾大学で開催の予定。

(河口充勇 記)

Wong教授の講演 講演会フロアの様子
総会での会長挨拶 総会終了後の記念撮影

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■2005年度大会の報告■

日本華僑華人学会2005年度大会は,神戸華僑華人研究会協賛・(社)中華会館後援のもとに,以下の通り開催されました。今回は,初めて東京以外の地域での大会の開催となりましたが,大会実行委員会の陳來幸氏,曽士才氏をはじめとする多数の関係者の用意周到な準備のおかげで,大会参加者91名,懇親会参加者54名にのぼり,たいへん成功裡に終了しました。
 なお,来年度の大会は,同志社大学で開催予定です。

期日: 2005年11月26日(土)
会場: (社)中華会館(神戸市中央区下山手通2丁目13番9号)

研究報告(10:00~13:00) 発表11件(うち1件は発表者病欠のため中止)
A1籠谷直人(京都大学人文科学研究所)「神戸華僑社会の歴史的意義1890~1945」
A2大石高志(神戸市外国語大学外国語学部)「戦前の阪神地域におけるインド商人:華商との比較および経済的競合・棲み分けに関する分析」
A3蒋海波(兵庫県立大学)「張友深と阪神華僑社会」
A4上田貴子(近畿大学文芸学部)「東北アジア華人ネットワークの中の大阪」
A5宍戸佳織(早稲田大学人間科学部大学院)「中国系保育園における日本人園児の教育―横浜中華街S園の事例から」
A6楊立明(早稲田大学)「新・老華人コミュニティーにおける地縁,業縁に関する一考察」

<司会> A1,A2:安井三吉(神戸華僑華人研究会),A3,A4:許淑真(摂南大学),A5,A6:符順和(社団法人中国研究所)

B1大井由紀(一橋大学大学院博士課程・日本学術振興会)「シカゴの華人社会―華人とアメリカの関係の再考察」
B2玉置充子(拓殖大学海外事情研究所華僑研究センター)「タイ南部の華人団体のネットワーク―「泰南十四府聯合救災機構」の成立と機能」
B3山本信人(慶應義塾大学法学部)「プラナカン・コミュニティの形成と変容―ムラユ語活字文化からみるプラナカンの政治社会的意味の研究」
B4山下清海(筑波大学大学院生命環境科学研究科)「南洋大学の設立と解体過程―シンガポール・マレーシア華人社会の変容の象徴として」 (発表中止)
B5廖赤陽(武蔵野美術大学造形学部)「福清の世界ネットワークと僑郷」

<司会> B1,B2:宮原 暁(大阪外国語大学),B3:田中恭子(南山大学),B5:籠谷直人(京都大学人文科学研究所)

講演(14:30~15:50)
 斯波義信(東洋文庫理事長,本学会会員)
 「オランダ統治期のバタヴィア華人とカピタン文書」
 総会(16:00~17:00)
 懇親会(17:30~19:30)中華料理店・老房

s-DSCN1398.jpg (59706 バイト) 総会の模様



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■2004年度大会の報告■

2004年11月27日(土)、第2回大会が、法政大学市ヶ谷キャンパス62年館を会場に開催されました。
 参加者は57名に達し、成功裡に終了しました。
午前中の自由セッション7本の研究報告に加えて、午後からは共通セッション「華僑華人社会の現在-送出国と受入国での変化-」(司会:冫余照彦、吉原和男)が行われ、予定された終了時間をオーバーして、活発な質疑応答が行われました。

プログラムの詳細については、ここ(pdf)を参照してください。
 共通セッション終了後、引き続き開かれた総会(議長に樋泉克夫氏を選出)では、事業報告、決算報告、会計監査報告、事業計画報告が承認されました。
 また、新たに「日本華僑華人学会研究奨励賞」を設けることが決まりました。

今後、本学会のさらなる発展のために、理事の選出方法および事務局の移転等について検討していくことになり、これらの案件について、来る12月13日(木)午後4時半から、学会事務局のある日本財団ビル4F大会議室において理事会(理事以外の会員の出席も歓迎)を開催することになりました。
また、来年度の第3回大会は、神戸華僑華人研究会のお世話で、2005年11月に神戸で開催されることになり、総会の席上、陳来幸氏(兵庫県立大学)から挨拶がありました。

総会の後、法政大学のボアソナードタワー25階スタッフクラブに場所を移して、27名が参加して、懇親会が開かれました
 曽 士才大会実行委員長および游 仲勲会長の挨拶、黒木國泰氏の乾杯の音頭で始まり、東京タワーの夜景を眺めながら、和やかな雰囲気の中で、終了の予定時刻を過ぎても懇談が続きました。

(文責: 山下清海 記)

 大会の写真(段躍中氏撮影)

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自由セッションでの発表
発表者:周飛帆氏、司会:陳天璽氏
共通セッションの司会者と報告者
左から、計時係、冫余照彦、吉原和男、游 仲勲、瀬川昌久、森川眞規雄の各氏
共通セッションの会場

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■2003年度大会の報告■

2003年11月22日(土)、学会発足後、初めての第1回大会が、日本財団ビルを会場に開催されました。
 参加者は予想を上回る77名に達し、成功裡に終了しました。
 12の研究報告が行われ、限られた時間一杯、活発な質疑応答が行われました。
 研究報告に引き続き開かれた総会(議長に原 不二夫氏を選出)では、決算報告、監査報告、予算案が承認されました。
 また、今後、充実した学会誌(→投稿規程)を継続して発行していくために、2004年度以降の年会費を、次のように変更することが決まりました。

  現行会費 改定後会費
一般会員 4,000円 8,000円
学生会員 2,000円 3,000円
賛助会員 10,000円 10,000円

 また、来年度の第2回大会は、曽 士才氏のお世話で、2004年11月に法政大学で実施されることになり、曽氏から挨拶がありました。
 総会の後、同会場において、38名が参加して、懇親会が開かれました。游 仲勲会長の挨拶、中川 學氏の乾杯の音頭で始まり、和やかな雰囲気の中で、終了の予定時刻を過ぎても懇談が続きました。
 段躍中氏が、大会の模様を中国新聞社に報道してくれました。

(山下清海 記)

下の写真(4枚は段躍中氏撮影)は、クリックすれば拡大して見ることができます。

【研究報告】

⑴ 第1セッション(座長:曽士才)

1.阿部康久(名古屋大学環境学研究科)
 「近代日本の植民地における中国人労働者政策の地域的差異と背景」
 10:00―10:20   発表
 10:20―10:25   質疑応答

2.廖赤陽(武蔵野美術大学造形学部)・王維(香川大学経済学部)
 「ローカル・イニシアティブにおける伝統の創造--長崎ランタン・フェスティバル(春節祭)とニュー・エスニシティ」
 10:25―10:45   発表
 10:45―10:50   質疑応答

3.江衛(東洋大学大学院)
 「埼玉県川口市芝園団地における新華僑の集住化」
 10:50―11:10   発表
 11:10―11:15   質疑応答

⑵ 第2セッション(座長:黒木國泰)

4.廖赤陽(武蔵野美術大学造形学部)・王維(香川大学経済学部)
 「「"日華文学"と"在日中国人社会"--漂流する孤島」
 11:15―11:35   発表
 11:35―11:40   質疑応答

5.中村哲夫(神戸学院大学人文学部)
 「泰益号文書研究の回顧と展望」
 11:40―12:10   発表
 12:10―12:15   質疑応答

6.段躍中(日本僑報社)
 「中文メディアサミットから見た華僑華人--第二回世界中文メディアフォーラムに参加して」
 12:15―12:35   発表
 12:35―12:40   質疑応答

昼食 12:40―13:40   

⑶ 第3セッション(座長:山下清海)

7.林史樹(神田外語大学外国語学部)
 「華僑社会のなかのマイノリティ--韓国華僑にみる「華僑」の混淆性」
 13:40―14:00   発表
 14:00―14:05   質疑応答

8.王恩美(一橋大学大学院)
 「戦後韓国における華僑学校教育」
 14:05―14:25   発表
 14:25―14:30   質疑応答

9.野澤知弘(横浜桜陽高校)
 「カンボジアの華人社会--華人社団の現況考察と今後の展望」
 14:30―14:50   発表
 14:50―14:55   質疑応答

ブレイク 14:55―15:10   

⑷ 第4セッション(座長:山岸 猛)

10.古田茂美(香港貿易発展局)
 「華人企業の中国事業とチャイニーズ・スタンダード--香港華人企業への聞き取り調査、インタビュー調査を中心として」
 15:10―15:30   発表
 15:35―15:40   質疑応答

11.安東みさを(ノートルダム清心女子大学)
 「経済ゲイトウェイにみる華人ネットワークの特質」
 15:40―16:00   発表
 16:00―16:05   質疑応答

12.凌星光(日中関係研究所)
 「新華僑華人政策推進の背景と内容」
 16:05―16:25   発表
 16:25―16:30   質疑応答

【総会】 17:00―17:45
 ①議長選出
 ②会長挨拶
 ③議事進行
 ④次年度当番校主催者挨拶

【懇親会】 18:00―19:30
 ①会長挨拶
 ②乾杯の音頭(中川學)
 ③参加者のスピーチ
 ④結びの挨拶

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講演会

■2009年度第1回講演会の報告■


日時:2010年3月20日(土)午後2時~午後5時半
場所:東京大学駒場キャンパスⅠ(教養学部) 18号館4階コラボレーションルーム1

第1報告
報告者:陳広漢氏(中国広州中山大学 香港マカオ珠江デルタ研究センター 所長)
論題:「香港・マカオと中国内地との経済関係と広東省と香港・マカオとの一体化」

第2報告者
報告者:毛艶華氏(中国広州中山大学 香港マカオ珠江デルタ研究センター 教授)
論題:「マカオ経済の適度な多元化:現状と問題、対策」

第3報告者
報告者:程美宝氏(中国広州中山大学 歴史系・歴史人類学研究センター 教授)
論題:「『華南研究』紹介」

第1報告者の陳氏は改革・開放政策の始動以前の状況から説き起こし、香港・マカオと中国内地との貿易関係の進展、広東省と香港・マカオとの一体化の進展を説明した。第2報告者の毛氏は、マカオをとりあげ、カジノへの依存度がきわめて高いマカオ経済にとって適度な多元化が必要であることを強調した。第3報告者の程氏は「華南学派」と一群の研究者の存在を紹介した。3氏の研究はすべて、香港・マカオと中国内地との交流の深まりを背景にして、交流そのもの、あるいはその背景についての研究である。こうした研究動向は、中国と香港・マカオの関係が競争関係を含みつつも、ウィン・ウィンの協力関係へと移行していることを示唆する。
なお、本講演会は科学研究費基盤研究B「北東アジアから東南アジアを結ぶ華人ネットワークの研究」(研究代表:谷垣真理子)の研究活動の一環であった。

講演会参加者:13名(会員6名、非会員4名、報告者3名)
懇親会参加者:10名
(文責:谷垣真理子会員)


■2008年度第2回講演会の報告■

日時:2009年3月27日(金)午後2時~午後5時
場所:東京大学駒場キャンパスⅠ(教養学部) 18号館4階コラボレーションルーム4

 本講演会では「中国における華僑華人研究の最前線」というテーマで、厦門大学南洋研究院の庄国土院長と廖大珂教授のお二人にご報告をいただいた。今回の招聘は許淑真会員(摂南大学名誉教授)のご尽力で実現したものである。

 最初の庄報告「世界華僑華人人口の最新推計と分布」では、全世界の華僑華人人口を推計するというプロジェクトが紹介された。2006年~2007年の華僑華人人口は4543万人という結果に加えて、どのように各国の華僑華人人口を推定したかという手順が説明された。断片的な公表データを丹念に集めることで、新移民の存在も推計時には考慮されたことが、確認された。

 一方、廖報告「福建華僑と大帆船時代の中国-ラテンアメリカ交流」は、福建華僑に注目し、マニラを結節点とした中国と南米との交流が紹介された。福建籍華僑はマニラ華人と呼ばれ、スペイン・ネットワークに接合することで南米に活躍の場を広げていた。

 両報告は、中国における華僑華人研究の文字通りの最前線の成果であった。とりわけ庄報告は厦門大学南洋研究院が国務院と密接な関係を持ちつつ、プロジェクト型の研究をすすめていることがうかがわれた。報告後、フロアからたくさんの質問が寄せられ、懇親会の場でもさまざまな意見交換がなされた。

 東京での開催ではあったが、静岡から2名、茨城から1名、大阪から1名と遠方からの参加者が多く、お二人の研究への関心の深さがうかがえた。

講演会参加者:16名(会員7名、非会員7名、報告者2名)
懇親会参加者:14名 (会員8名、非会員4名、報告者2名)
 
文責:谷垣真理子会員

■2008年度第1回講演会の報告■


日時:2008年6月14日(土)午前11時~午後1時
場所:東京大学駒場キャンパスⅠ(教養学部)18号館4階   
コラボレーションルーム 3
報告者:下岡 郁氏
     (グラントソントンジャパン[ASG税理士法人]中国デスクマネージャー)
論題:「国際企業にとっての特別行政区の新たな役割~日本、中国及び香港の税制を踏まえて~」

2008年度第1回講演会は、グランントソントンジャパンから下岡郁氏を講師にお招きし、東京大学駒場キャンパスで開催されました。
本講演では、下岡氏は日系企業が中国に投資する際、国際企業にどのように税金がかかるのかを代表的な事例に即して説明した。法人税率は日本が42%、中国が25%、香港が16.5%であり、企業にとって香港が税制的にもっとも好ましいと思われる。しかし、タックスヘブン対策税制や日中租税条約の存在、タックススペアリングクレジットによって、「香港を中国ビジネスに介在させることが、税金面ではマイナスに作用する」可能性もある。このようなビジネスの現場の複雑さを、下岡氏は2時間かけて、参加者に根気よく説明してくださった。講演会後の懇親会でも、参加者は下岡氏の現場感覚あふれるお話を堪能することができた。
なお、本研究会は日本広東研究会との共催であり、科学研究費基盤研究C「華南地域社会の歴史的淵源と現在」の研究活動の一環であった。
研究会参加者:10名(会員4名、非会員5名、報告者1名)
懇親会参加者:8名

                                    (文責:谷垣真理子会員)


■2007年度第2回講演会の報告■

日時:2007年7月14日(土)14:30~17:00 (懇親会17:00~18;30)
会場:上智大学四ツ谷キャンパス 2号館14階1415-C教育学科会議室
演者:符順和氏(元横浜山手中華学校教諭・塾「寺子屋」主宰者)
演題:中華学校をとりまく教育事情

 本講演会は、本来、第1回講演会として5月17日に予定されていたが、開催場所である上智大学の麻疹集団感染により順延となっていたものである。当日も関東地方への台風接近が伝えられ、あいにくの雨模様であったが、2時間半にわたる熱のこもった講演に大変印象づけられる講演会となった。講演にあたっては、在日中華学校の現況と課題を整理した演者の論考『中華学校を取り巻く教育事情』、在日外国人の教育問題をとりあげた『読売新聞』記事(2007年5月21日付)、ならびに横浜山手中華学校の用地取得問題を特集した『横濵華僑通訊』〈2007年5月号〉が資料として配布された。そして演者の35年余りにわたる横浜山手中華学校での教育経験、ならびに現在、横浜中華街で取り組んでおられる塾「寺子屋」における教育実践に基づき、在日外国人教育としての華僑・華人子弟の教育問題がさまざまな角度から具体的に論じられた。終了後は17時より18時半まで軽食をとりながら引き続き懇親会が開かれ、日本における華僑・華人社会の諸課題を含む幅広い懇談が行なわれた。

講演会参加者:25名(会員6名、一般18名、講演者1名)
懇親会参加者:12名

                                      (文責:杉村美紀会員)
上智大学における符順和氏講演会

■2007年度第1回講演会の報告■

日時:2007年6月27日(金) 18:30~20:00
会場:法政大学市ヶ谷キャンパス ボアソナードタワー25階B会議室
演者:朱炎会員(富士通総研主席研究員)
演題:「中国企業の海外展開と華人ネットワーク」

 本講演会は法政大学国際文化学部との共催,公開講演会という形で開催された。
 本来第1回の予定であった符順和氏講演会が,会場校のはしか休校により順延となったため,本講演会が2007年度第1回講演会となった。当日,会場には法政大学関係者のほか,他大学の教員,学生が多数見えていた。また,証券,法律関係の実務者も参加されていた。
 講演では,統計からは見えてこない中国企業の対外投資の実態,中国の潤沢な外貨事情や政府の規制緩和,奨励政策を背景に,大企業が進めるグローバル戦略,民間企業,中小企業が進めるニッチな地域における投資戦略,そして東南アジア諸国で民間企業,中小企業が華人ネットワークを積極的に活用して進出していることについて,タイやベトナムでの現地調査の映像を交えながら,実に分かりやすくお話をしていただいた。
 講演会終了後,会場近くの中国料理店で懇親会が開催され,朱炎氏を囲んで活発な議論が交わされた。
 なお,質疑応答も含め,講演抄録は本会のニューズレター(会員専用)に掲載予定である。

講演会参加者:37名(うち会員12名,法政大学学生OB9名,一般15名,演者1名)
懇親会参加者:10名

                                         (文責:曽士才会員)
山下清海副会長の挨拶 朱炎氏 質疑応答

■2006年度第2回講演会の報告■

 日本華僑華人学会の第2回講演会は,本会の曽士才企画委員(法政大学国際文化学部)のご尽力により,法政大学国際文化学部との共催,公開講演会という形で,非常に立派な会場を使用させていただいき,以下のとおり開催された。
(1)日時:9月15日 午後6時30分~8時 (講演1時間、質疑応答30分)
(2)会場:法政大学(市谷キャンパス)ボアソナードタワー26階 スカイホール
(3)演者:莫邦富(莫邦富事務所。ジャーナリスト)
(4)演題:日中間の新しい架け橋~新華僑

 まだ,夏休み中の大学も多い中で,新聞・テレビなどのマスコミでも著名な莫邦富氏の講演ということで,非会員の参加者の姿が目立った。
 講演では,莫氏が1985年に来日して,今日に至るまでのご自身の体験に基づきながら,「新華僑」の実態,「新華僑」を取り巻く状況の変化などについ て,多くのエピソードを交えながら語られた。特に,「新華僑」はなぜ海外に出るか,という問題について,旧ソ連や東欧での取材体験談には,多くの聴衆が引 き付けられた。
 講演のあと,フロアから多くの質問の手が挙がり,活発な質疑応答が交わされた。講演会終了後,莫邦富氏を囲んで,会場近くの中国料理店で懇親会が開催され,講演では出てこなかった貴重な話を聞くことができた。
 なお,講演の詳細な内容については,本会のニューズレター(会員専用),第11号に掲載予定である。 (山下清海 記)

講演会会場
左奥は司会の曽士才氏
莫邦富氏 質疑応答

■2006年度第1回講演会の報告■

日 時: 2006年4月14日(金)18:30~20:00
会 場: 慶應義塾大学 第3校舎311号教室

講演者: 森田靖郎氏(ノンフィクション作家)
演 題: 天安門事件以降の中国人の国外移動 
     -来日中国人のお金の事情:格差から逃れて、一攫千金を夢見て落差を知る-

司会:吉原和男氏(慶應義塾大学文学部教授・本学会企画委員) 

 講師の森田靖郎氏は,蛇頭など中国人犯罪グループに関する著作が多数あるノンフィクション作家であり,近年ではノンフィクションにとどまらず,豊富な取材経験を生かして小説も手がけられている。
 今回の講演は,天安門事件後に経済格差が広がった中国から一攫千金を求め国外へ出る出稼ぎ労働者の動きと,彼らの来住による日本社会の変化を,「蛇頭」「工頭」「車頭」の出現などから振り返ったものである。
 1970年代初頭から中国で取材を重ね,中国社会の裏側を見てきた森田氏ならではの実体験に基づく迫力ある話を聞くことができた。また現代日本の抱える 問題点を見つめなおす意味でも非常に意義深いものであった。特に「犯罪は社会にとって病気のようなもの。犯罪を無くすためには,犯罪について知らなければ ならない」という言葉には深い感銘を受けた。
 参加者は学会員18名,慶應大学の学生および教員47名,その他5名の計70名。
 講演会終了後,慶應大学近くの中華料理店で講師を囲む懇親会が行われ,15名が参加した。

(玉置充子 記)

講演会ポスター


研究会


2010年度第4回研究会の報告

日時: 2011年3月26日(土)午後2時~5時30分

場所: キャンパスプラザ京都・6階第2講習室

発表: モリ・カイネイ会員(立命館大学大学院)
    「世界宣教を目指す華人系プロテスタント教会―『ミッション』による全体モデルの可能性について」

コメンテータ: 宮原暁会員(大阪大学)
司会: 芹澤知広会員(奈良大学)

 立命館大学大学院に在学中のモリ・カイネイ会員が、現在調査中のプロテスタント教会について発表した。
 本発表での「華人系プロテスタント教会」とは、華人が多く集まり、華人が教会運営の主導権を持つプロテスタント教会のことである。モリ会員によると、今日の華人系プロテスタント教会の成り立ちには、宣教活動が深く関わっている。そのなかでも、1970年代以降に顕著になった、「世界華人福音運動」という華人による宣教運動が大きな影響を与えている。
 本発表では、この歴史的前提のもと、日本における華人系プロテスタント教会の現状を、宣教師の実践と世界観を手がかりに紹介し、従来の華人ディアスポラ論とは異なる、キリスト教研究に基づく「全体モデル」構築の可能性が論じられた。なお、モリ会員の調査では、2010年8月現在、日本全国で36の華人系プロテスタント教会が確認されている。
 近年、華人宣教師が来日して設立した華人系プロテスタント教会は、各宣教師が明確なヴィジョンを個々に持ち、宣教対象者に対して計画的で、柔軟な宣教活動を展開している。さらに、日本社会に適応した華人信徒のなかから志願者を募り、次世代の宣教師養成も行っている。そのため、「宣教地における教会」として土着化するいっぽうで、グローバルな一面をもって、今後の宣教地の範囲を拡大していく拠点にもなる傾向がある。プロテスタント教会に集う華人の連携は、一般的な経済活動という利益中心の連携ではなく、キリスト教の信仰という、強力な普遍主義のイデオロギーを中心にした求心的なものであるという。
 コメンテータの宮原会員は、プロテスタント宣教における「エキュメニカル運動」と「福音主義」など、発表で使われた用語の意味の問題や、本発表が批判の対象とする、一神教に対する従来の人類学のアプローチや、新たに提起しようとする「ミッション・モデル」など、全体の流れ・枠組みに関わる問題についての質問をした。また、華人系の教会であるにもかかわらず、シンガポールから牧師が来ているフィリピンのベタニ教会や、マレー語、中国語、「ババ・チャイニーズ」の3言語で日曜日の礼拝をしている、シンガポールのカトン教会の例を挙げて、華人宣教師を受け入れる個別社会を見ていくことで、プロテスタント教会の真髄がさらに深くわかるのではないか、という今後の研究を進めるうえでの方向性を示唆した。
 モリ会員の発表は、世界的なプロテスタント宣教の歴史や、中国国内のプロテスタント教会の歴史を含む、広範囲の内容を持ち、質疑応答の内容も多岐にわたり、ディスカッションは時間を要するものになった。
 当初この研究会では、発表がもう1本予定されていた。しかし発表者が急に出席ができなくなった旨の連絡が当日入った。そのため時間配分等、司会進行のうえでは開会時に気がかりな点があったが、会員7名、非会員3名、計10名の参加者は、モリ会員の興味深い発表をめぐって十分に議論をする時間が与えられ、結果としては予定時間どおりに終了した。

(文責:芹澤知広会員)

■2010年度第3回研究会の報告■


テーマ: 華僑華人分析にみる文字資料の資料的価値の検討―韓民族から見る漢民族

日時: 2010年12月4日(土)10:30~17:30
場所: 東亜大学13号館709号室
共催: 科学研究費補助金・基盤研究(B)
     「日本「周辺」地域にみる国境変動とアイデンティティ:韓国・台湾との越境を巡って」
     (研究代表者 県立広島大学 上水流久彦)

趣旨説明 10:30~10:40 上水流久彦会員
報告
 報告1 10:40~12:00 櫻田涼子会員(筑波大学/京都大学)
       「モノ化する社会関係―マレーシア華人社会における広告記事を事例として」
                  コメント: 崔吉城氏(東亜大学)・嶋陸奥彦氏(ソウル大学校)

 報告2 13:00~14:20 上水流久彦会員

       「台湾漢族社会における通時的分析資料としての訃聞の可能性」
                  コメント: 崔吉城氏・嶋陸奥彦氏

 報告3 14:40~16:00 川口幸大会員(東北大学)
       「村落社会における歴史・文化の再発見事業と華僑華人―珠江デルタ僑郷地域からの報告」
                  コメント: 崔吉城氏・嶋陸奥彦氏

全体討論 16:15~17:30 司会: 上水流久彦会員


 第一報告ではマレーシア華人社会に流通する新聞に掲載される広告記事を使い、どのような分析が可能かという点から検討が行われた。そこでは当事者と周囲の人々との関係構築の場所として機能する広告記事の特徴が指摘された。その特徴とは親族関係におさまらない人間関係の提示であり、そこからは父系親族組織のみを重視するわけではないマレーシア華人社会の実際が見えてくるものであった。
 第二報告では台湾の植民地期の訃聞、戦後の訃聞に掲載される親族範疇、殯葬期間の変遷について分析した。戦前の訃聞では女性が排除されるが、戦後は女性親族が多く掲載されていた。他方、殯葬期間は昭和前半までは台湾漢人の慣習が存続するが、昭和後半になると短期化し、戦後になると戻っていた。植民地統治の影響も葬儀の要素で異なっていた。
 第三報告では文字資料の活用について批判的な分析を行った。僑郷で目にする文字資料として族譜、地方誌、祠堂や廟の再建にあたっての寄付名簿等があるが、華僑華人研究という視点から分析に耐えうる資料ではなく、そこで緻密なフィールドデータから「貧しい中国(僑郷)と豊かな海外」という従来の認識の構図が、近年の中国の経済発展によって見直しを迫られている状況を明らかにした。
 コメント、ディスカッションでは韓国の親族関係、南北アメリカの華僑の状況から発言があり、文字資料の通文化的な比較の必要性が指摘された。移住先の文化との関係やチャイニーズとしての共通性も浮き彫りになるとの意見が出た。さらに複数の文字資料の対照、フィールデータとの整合性、使用されている状況での分析などの作業を行うことで、文字資料としての価値が高まる等の考えも出された。発表者からは父系親族を超えて広がる人間関係を対象化できる資料として、今回取り上げたデータが使えるのではないかとの主張がなされた。
 本研究会への参加者は東亜大学、共催科研の協力のもと13名であった。地方開催を趣旨としていることから多くの参加者は望めないが、参加者の中から学会加入希望も出て広報活動という点では有用であった。

研究会参加者:13名(会員4名、非会員9名)

(文責:上水流久彦会員)


■2010年度第2回研究会の報告■

日時:10月2日(土)午後6時~8時

場所:慶應義塾大学三田キャンパス南館4階会議室

共催:平成22~24年度・科学研究費補助金・基盤研究(A)
    「東南アジアにおける宗教の越境現象に関する研究」(研究代表者、京都大学大学院、片岡樹准教授)

研究会テーマ:「東南アジア地域における華人宗教と慈善」

発表1:玉置充子会員(拓殖大学)「華僑報徳善堂とタイの華人団体の慈善ネットワーク」
発表2:黄蘊会員(関西大学)「東南アジアにおける徳教の慈善活動展開のバリエーションとネットワーク」

司会:志賀市子会員(茨城キリスト教大学)
コメンテータ:片岡樹会員(京都大学)

 発表1は、タイのバンコクに20世紀初めに設立された華僑報徳善堂の慈善活動をとりあげた。報徳善堂は、民間信仰に根ざした華人の相互扶助組織から、しだいに援助対象をタイ社会全体に広げ、豊富な資金力を背景に事業を多角化し、タイ最大の民間慈善団体と言われるまでに発展した。現在の活動は、事故・災害救助、医療、教育、年中行事の開催、墓苑の運営等に分けられる。本発表では、同善堂の一世紀にわたる歴史を概観するとともに、慈善事業への協力を通してタイ各地の華人団体とのネットワークが構築されていることに注目し、その形成過程を考察した。
 発表2は、タイ、マレーシア、シンガポールを中心に教団の勢力を拡大してきている華人教団「徳教」の、慈善活動展開のバリエーションとネットワークについて考察を行ったものである。上記三ヵ国の華人社会はそれぞれ構成や社会環境が異なるため、徳教団体はそれぞれ独自の慈善活動を展開している。本発表では、各国の徳教団体の慈善活動展開の特徴とその背後にある地域性や社会状況、または慈善の展開における相互の連携とネットワーク性に注目し、慈善という側面から東南アジアにおける宗教の越境現象を検討した。
 中国潮州地域を発祥地とする伝統的な慈善結社としての「善堂」と、その善堂から発展した新興宗教教団「徳教」の、東南アジア華僑社会における展開をとりあげた両発表に対して、コメンテータからは、善堂と徳教の違いについて、また潮州系華人の慈善に対する関心の高さやその結束力に関する質問がなされた。その後行われた討論では、徳教が行っている「修?法会」の伝統について、中国の発祥地まで遡って考察していく必要があるのではないかという問題提起や、ホスト社会との関係についての質問があった。

参加者は、常任理事会終了後の6時からという比較的遅い時間から始まったこともあり、会員12名、非会員2名にとどまった。(文責志賀市子会員)


■2010年度第1回研究会の報告■ 


日時:2010年7月16日(金)午後2時~午後6時
場所:島根県立大学浜田キャンパス
共催:島根県立大学北東アジア地域研究センター・交錯する‘北東アジアアイデンティティの諸相’研究会
研究会テーマ:日本の華僑華人社会にみる「台湾」―北東アジアにおけるアイデンティティの一側面―

 発表
  第1報告者:何義麟氏(台湾・台北教育大学)
   論題:「戦後在日台湾人における華僑意識の変容」
  コメンテータ:李暁東氏(島根県立大学)
  第2報告者:国永美智子会員(台湾・淡江大学亜洲研究所)
   論題:「台湾から八重山へ-パイン工場での労働と定住後の生活-」
  コメンテータ:坂部晶子氏(島根県立大学)
 ディスカッション 「東アジアの越境現象にみる台湾の華僑華人」
 司会:上水流久彦会員(県立広島大学)
 問題提起:藤野陽平会員(日本学術振興会)

 第一報告では戦後の日本社会において在日の台湾人が「台湾」を強調せず、「華僑・華人」として存在してきたかを分析した。その理由として戦勝国としての立場を確保すること、日本植民地支配への反発、国民党政府や共産党政権への失望、広く華僑・華人のネットワークを活用することなどが指摘された。今後は、世界各地で「台湾人」認識に基づく組織の形成が行われていることから、日本でも「台湾」に基づくアイデンティティや活動が盛んになると述べた。この報告に対してコメンテータからは、アイデンティティの多重性から「華僑華人」意識と「台湾人」意識の関係、在日中国人における華僑華人意識の希薄性などが論点として提示された。
 第二報告ではこれまでの研究ではほとんど論じられることがなかったパイン女工が取り上げられた。三人の女工経験者のインタビューからは、女工においては琉球に対する知識はほとんどないこと、ドルを得られて日本の製品が買えるという動機で来ていること、沖縄で労働者を確保することが難しくその穴を埋めるように台湾からの女工が募集されたことなどが明らかにされた。この報告に対してコメンテータからは、台湾と日本や沖縄の間における人々の移動全体のなかでの位置づけや三人のインフォーマントに関する事例としての適切性、ホスト社会の彼女らへの認識などについて質問がなされた。
 ディスカッションでは最初に問題提起者から在日台湾人という学術用語設定の意義、アイデンティティの構築主義的な分析、その構築において参照される他者イメージという切り口が提示された。その切り口を出発点に、「華僑華人」意識の曖昧さ、華僑華人研究における台湾人経験への注目、確固なものになってきた台湾人意識、国家単位よりも小さい地理的単位に基づく自己アイデンティティの形成とそれに基づく多様性、自己の根源に関わるアイデンティティと道具的に使用されるアイデンティティ、マジョリティとマイノリティの権力関係、政治的経済的な状況に基づく名乗りの問題などが議論の俎上にのった。院生からの意見も出て、活発な意見交換となった。
 本研究会への参加者は島根県立大学の協力のもと19名であったが、会員は発表者など3名のみであった。この点は残念であり、会員参加増加については今後の課題としたい。

研究会参加者:19名(会員3名、非会員16名)
(文責:上水流久彦会員)


■2009年度第6回研究会の報告■ 


日時:2010年3月29日(土)午後2時~午後5時
場所:東京大学駒場キャンパスⅠ(教養学部)18号館1階 メディアラボ2
第1報告者:朱 炎氏(拓殖大学 国際学部 教授)
論題:「第10回華商大会と華人経済・華人企業の新動向」

第2報告者:朴 文傑(中華総商会 事務局長)
論題:「日本中華総商会の成立と発展」

第一報告では第10世界華商大会(2009年)の概要とフィリピンとインドネシアの華人経済と華人企業の動向を報告した。朱氏はこれまで7回の世界華商大会に出席し、その経験を踏まえて、マニラ大会について(1)華人社会が総動員、(2)大物華人財界人が参加、(3)分科会を設けずすべて全体スピーチ、などが特徴としてあげられた。第9回の神戸大会から、中国からの出席者が急増し、第10回大会では3分の1を占めた。また、第9回大会から賈慶林・政協主席が出席するなど、中国の影響力は増大していた。これに対して、シンガポールは中国の影響力増大を警戒している。
一方、第二報告では日本中華総商会の成立と発展について報告があった。日本中華総商会は1999年9月9日に在日華僑・華人が経営する企業及び一部中国国有企業などが中心となって発足した。改革・開放政策の始動以降、日本でも新華僑が急増し、その後、在日華僑・華人社会は90万人時代を迎えている。日本中華総商会の発足は、このような日本の華僑社会の新しい動向を反映しているという。第10回の世界華商大会では、日本中華総商会が、日本からの参加者のとりまとめをおこなったという。
本研究会への参加者は14名を数え、今回のテーマに対する関心の高さがうかがえた。

研究会参加者:16名(会員6名、非会員8名、報告者2名)
(文責:谷垣真理子会員)


■2009年度第5回研究会の報告■


日時:2010年3月1日(月)午後2時~午後5時
場所:東京大学駒場キャンパスⅠ(教養学部)18号館4階 コラボレーションルーム3
報告者:土屋 敦子氏(岐阜大学大学院・修士課程)
論題:「ベトナム南部の~クレオール化再考の試み~」

「明郷」(ミンフォン、ミンフン)」はベトナムの華僑華人一般(ホアDan toc Hoa/ ホア族、Nguoi Hoa華人)を指すのではなく、(1)17世紀末に中国からベトナムに移住した明朝遺臣のゆかりの人々や、(2)ベトナムに移住した華人と現地のベトナム人女性との婚姻によって生まれた人々とその子孫を指す。
土屋氏は、明郷ベトナム南部地域のホーチミン市の明郷嘉盛亭とビンロン市明郷会館で聞き取り調査を2008年8月に実施した。前者はチョロンの中心部に位置し、地域の民族構成はキン族が65%、ホアが35%ほどであった。一方、後者はメコンデルタで農業開発が始まった地域であり、キン族が97%、クメール約2%で、ホアはわずかに0.6%であった。
民族構成の違いを反映するように、明郷嘉盛亭とビンロン明郷会館では民族籍の選択や、歴史認識に違いが見られた。土屋氏の報告は明郷がベトナム社会に適応し、現地社会でアイデンティティを獲得するプロセスを、クレオールの枠組みを用いて検討した。報告では、現地調査時の写真も数多く使われ、明郷集団の現在が紹介された。
報告後、聞き取り調査のやりかた、アイデンティティに関する設問の設定の仕方、クレオール概念の設定などについて活発な質疑応答が行われた。本研究会には日本ベトナム学会員が3名出席し、本学会からもベトナムでの現地調査経験者が参加した。
なお、報告者の土屋氏は岐阜大学院地域科学研究科の院生である。関東地区までご足労いただいての報告となった。

研究会参加者:7名(会員3名、非会員3名、報告者1名)
懇親会参加者:5名
(文責:谷垣真理子会員)



■2009年度第4回研究会の報告■


公開ワークショップ「1960年代・70年代の香港」
日時: 2009年12月19日(土)13:00-16:30
場所: 奈良大学図書館3階セミナー室(D-308)
参加者: 9名(うち会員5名)、懇親会参加者7名

第1報告
道上知弘(会員、慶應義塾大学・東京大学非常勤講師) 
「60年代香港広東語映画の光と影」

第2報告
廣江倫子(会員、大東文化大学専任講師)
「1974年の公用語条例改正と中文の使用」

コメント 日野みどり(会員、金城学院大学教授)

 奈良大学図書館・企画展示「香港の新聞『大公報』とその周辺」(2009年10月10日~2010年1月30日)の開催と、関連書籍『「読み書き」から見た香港の転換期-1960~70年代のメディアと社会』(吉川雅之編、明石書店2009年10月刊)の出版を記念して、企画展示を担当した芹澤知広(会員、奈良大学准教授)との共催のかたちでの研究会が行われた。
 第1報告では、香港で撮影され、香港に拠点を置く映画会社によって制作された「香港映画」のうち、1950年代から60年代前半にかけて制作された広東語映画に焦点をあてて、その歴史が辿られた。とくに1960年代に特徴的な、アイドル女優を起用した広東語映画について、映像の紹介も含めて詳しい説明があった。また、当時の広東語映画の「影」の部分として、1960年代後半に顕著となる広東語映画衰退の要因のいくつかが指摘された。
 第2報告では、中文公用語化運動の影響を受けて1974年に公用語条例が成立した後も、香港における言語使用のパターンには変化がなかったという仮説の下、とくに司法機関における中文使用が詳しく検討された。香港の法廷での裁判の過程がわかりやすく紹介され、裁判官、検察官、弁護士などの法曹関係者が英語で訴訟手続きを進めるという点で、1974年以後も変化のなかったことが指摘された。
 コメントでは、『「読み書き」から見た香港の転換期-1960~70年代のメディアと社会』の公刊に至った、報告者を含む共同研究グループの今までの歩みが紹介された後、それぞれの報告に対する質問やコメントが出された。そのなかには、第1報告と対になるようなかたちで第2報告は「植民地としての香港」という側面に焦点をあてている、という本ワークショップの全体の枠組みにかかわる重要な指摘も含まれていた。
 年末の忙しい時期で参加者は多くなかったが、自身の関心のある報告を聞くために、香港や東京から奈良へわざわざ駆けつけた人もいた。少人数のアットホームな雰囲気のなか、休憩時間や懇親会場への移動中も含め、参加者同士の熱心な意見交換が時間の許すかぎり続いた。

文責:芹澤知広会員



■2009年度第3回研究会の報告■

日時: 2009年9月28日(月)午後6時~8時30分
会場: 東京大学駒場キャンパス18号館4階コラボレーションルーム第4番

第一報告
内藤理佳氏(上智大学ほか非常勤)
「中国返還後のマカエンセ(Macaense)のエスニシティー変容 -マカオ在住マカエンセ16名の聞き取り調査から」

第二報告
塩出浩和会員(城西国際大学)
「一九四○年代の香港政治制度改革 -戦中と戦後、その継続性」

共催: 科研費基盤研究(B)「北東アジアから東南アジアを結ぶ華人ネットワーク」(代表: 谷垣真理子会員)および広東研究会(第37回)

参加者数: 14名(会員4名、一般10名)

新学期の平日夕刻の開催でしたが、予想以上の参加者(特に未会員と非会員)があり、用意したハンドアウトが足りなくなりました。また、とりわけ第一報告は内容が新鮮で濃かったため、議論が白熱し、研究会全体で予定の時間を約45分超過しました。懇親会にも7名が参加しました。

第一報告は、これまで日本語による本格的な研究がなかったマカオのポルトガル系子孫たちについての文化人類学的研究でした。報告者の修士論文(放送大学大学院に提出)が元になっています。ポルトガル語による先行研究の検討と報告者が2008年にマカオで行なったインタビューによって、マカエンセ・エスニシティーの現状と将来展望が示されました。報告者の結論は「急速に中国化が進みつつあるマカオにおいて、エスニック集団としてのマカエンセ・コミュニティーは事実上消滅する可能性が高い」というものでした。質疑応答では、マカエンセの表徴のひとつである「ポルトガリダーデ」の内容について、地域集団としての「新しいマカオ人」形成の可能性について、などが議論されました。

第二報告は、1947年に出されたいわゆる「ヤング憲政改革」の内容とその背景を検討するものでした。当時の香港政治制度改革が日本占領期の「地方自治導入の試み」と世界的な「民主化の競争」の影響を受けたものであったと指摘されました。報告の中で、報告者は「1943年に日本軍政当局によって強制帰郷や海南島への労働者移送が行なわれた」という趣旨の発言をしましたが、これは誤りでした。このような政策はほぼ1942年中に終了していました。(この点は和仁廉夫会員から研究会後にご指摘を受けました。ありがとうございます)当日は、第一報告についての議論がとても面白かったため時間が少し足りなくなり、第二報告は内容の一部が割愛されましたが、第38会広東研究会(11月2日、沖縄北谷)で拡大改訂版が報告されます。

文責:塩出浩和会員

■2009年度第2回研究会の報告■

日時:2009年5月29日(金)18:00~20:30
会場:東京大学駒場Ⅰキャンパス
    教養学部18号館4階 コラボレーションルーム4

 本研究会では、「歴史からみたインドネシア華人」というテーマのもと、工藤裕子会員(東京大学大学院)と青木葉子会員(早稲田大学大学院)のお二人にご報告いただいた。

 まず、工藤報告 「ジャワにおける台湾籍民―20世紀初頭のスマランの事例より」では、蘭印における華人の社会・経済状況と国籍規定への対応からその要因を分析し、さらに、中部ジャワの貿易港であるスマランの台湾籍民(日本の台湾領有期に日本籍を持ちながら、中国や東南アジアに在住した台湾人)の活動に注目し、日本、台湾との関係を考察した。

 次に、青木報告「バタヴイアの華人私領地―農業企業形成の一事例として」では、植民地期インドネシアにおけるグローバルな農業企業成立の事例としてバタヴイアの華人私領地について取り上げ、その華人私領地と19世紀末からアジアにおいて形成された米市場との関係について検討した。

 両報告に対してフロアから多くの質問が寄せられ、活発な討論がおこなわれた。

出席者数:11名

文責:山本信人会員

■2009年度第1回研究会の報告■

 2009年度第1回研究会は、2009年4月5日(日)午後1時30分より5時30分まで、京都大学吉田キャンパスにおいて行われた。本研究会は、「中越関係の展開と両国の狭間を生きる華人とヌン族」という共通論題をかかげ、冒頭において伊藤正子会員が趣旨説明を行い、鄧応文氏、塚田誠之氏、芹沢知広会員の各氏による個別報告の後で片岡がコメントを行った。
 個別報告の概要であるが、鄧応文氏は中越国境貿易の変遷について、1980年代の国境貿易再開から1996年以降の整理・縮小に至る経緯と、その背景にある両国政府の方針についての分析を行った。続く塚田報告では、民族的に同系統にある中国の壮族とベトナムのヌン族の、国境を越えた相互往来について説明し、複数国にまたがる民族集団のミクロなネットワーク形成についての考察を行った。最後に芹沢報告では、ホーチミン市内の華人系宗教施設のサーベイから、華人、キン族、ヌン族の宗教実践の特徴を抽出・比較した。コメントから総合討論にかけては、華僑華人研究およびベトナム地域研究の双方の立場から、華僑/華人とは何かについての活発な議論が展開された。
 研究会参加者は20名(会員10名)、そのうち13名が懇親会に参加した。

文責:片岡樹会員


■2008年度第5回研究会の報告■


 2008年度第5回研究会は、2009年2月21日(土)午前10時15分から午後1時まで東京大学駒場Ⅰキャンパスにて行なわれた。報告は、村井寛志会員、坪井祐司氏(非会員)、東條哲郎会員の3名による華人新村に関する共同調査の成果であり、「華人新村から見たマレーシア地域社会史―ヌグリ・スンビラン、スランゴール2州における調査から―」という題目で行なわれた。報告では、マレーシア半島部で40年代末~50年代初頭、マラヤ共産党対策として形成された「新村」と呼ばれる村落が華人社会にどのような影響を与えているのかについて、戦前期から新村期を経て現在に至る個々の村の歩んだ歴史を半島中部西海岸のヌグリ・スンビラン、スランゴール2州の複数の新村におけるオーラル・ヒストリー調査と文献資料調査の結果から、その地域的な共通性と相違性を見出すものであった。
 コメントは市川哲会員からなされ、人類学的調査との連関、地域社会史という視座の可能性、中国本土との関係、葬儀や墓をめぐる華人組織と新村社会の関係についての指摘がなされた。また、フロアからは、新村期における村落における生業変化が新村華人の政治や社会に与えた影響や、マレー人村落調査を並行することによるマレーシア現代史への可能性など、様々な面からの指摘がなされ、活発な討論が交わされた。

研究会参加者:報告者3名(うち会員2名、非会員1名)、参加者12名(うち会員10名、非会員2名)

文責:東條哲郎会員

■2008年度第4回研究会の報告■


日時:2009年1月24日(土) 13:30~18:00
場所:大阪大学中之島センター 3F 多目的スペース2
テーマ:人類学と華僑華人研究

第1報告
櫻田涼子会員 (筑波大学大学院)
 「場所の人類学 ― マレーシア華人の住宅事例から」

第2報告
津田浩司会員 (日本学術振興会特別研究員PD)
 「関係性の中の『華人性』 ― 現代インドネシアのフィールドから」

司会:宮原曉会員 (大阪大学グローバルコラボレーションセンター准教授)

 参加者17名、うち6名が福島駅近くのトルコ料理店での懇親会に参加した。

 今日、華僑華人研究は、研究対象としての「華僑」「華人」をどう定義し、同定していくかという研究の根幹にかかわる問題に直面している。こうした問題は、「華人ネットワーク」や「商才民族」といった華々しいみかけとは裏腹に、クレオール主義の問題や二重意識の問題、ひいては近代とは何かを問う複雑な問題構成をとっている。また、現象としてみても、出身地(国民国家)と移民先(国民国家)の関係に加え、出身地への 環流や再移民、現地化、中国化といった華人の複雑な動きを観察することができる。従来、華僑華人研究は、歴史学、地理学、経済学、政治学、文学、国際関係論などの様々な学問分野からのアプローチがなされてきたが、今日、直面する問題を正しく理解するためには、諸専門分野の総合が必要不可欠である。本研究会では、文化人類学の分野から今日の華僑華人をとりまく複雑な問題を眺めた場合、どのような研究が可能なのか、お二人の若手の研究者を招いてお話を伺うとともに、様々な学問分野の専門家に広く呼びかけ、華僑華人をめぐる文化人類学的研究の今後の方向性について議論を行った。

文責:宮原曉会員

■2008年度第3回研究会の報告■


 奈良大学地域連携教育研究センター主催、日本華僑華人学会協賛の企画として、2008年12月7日に第3回研究会が行われた。午後3時から4時30分までのあいだ、奈良大学通信教育部棟にて、カナダ・トロント大学・社会学科のエリック・フォン教授(Prof. Eric Fong)による発表、「北米における華人のビジネス:トロントの事例(Chinese Businesses in North America: A Case Study in Toronto)」を中心に、「地域社会研究・特別セミナー」が行われた(使用言語は英語)。
 はじめにフォン教授は、2種類のトロントの中国人商店の写真を参加者に見せた。1つは、市の中心部にあるチャイナタウンの写真である。もう1つは、市の郊外にあるショッピングモールである。そして、北米への中国系移民の歴史と、エスニック・ビジネスの研究史とを辿ることから、近年起きた経済のグローバリゼーションが、外国からの投資と労働移民をもたらし、かつてのチャイナタウンとはイメージを異にする、郊外型のエスニック・コミュニティ(「ethnoburb」)をつくりだしたことを紹介した。
 さらにフォン教授は、トロントを対象に行った計量的な研究にもとづき、今日華人の商業の過半数が、エスニック・マイノリティの集住地区ではない地区で行われているということ、もっとも多い業種は小売であること、従業員9名以下の小規模な事業が大半を占めるということなどを、具体的なデータを示して紹介した。
 発表の後は活発な質疑応答が行われ、さらに充実した研究会となった。例えばフォン教授は、心理学を専攻する大学院生が多数出席していたのに応えて、華人の子供たちは親の商店を継ごうとしないが、なぜなのかはわからない、と教育に関わる問題をフロアーに投げかけた。それに対して在日コリアンの研究をする社会学者から、在日コリアンの場合には自分で起業することが重要だと考えられているというコメントがあった。
 本研究会を担当した芹澤を除き、日本華僑華人学会会員の参加が一人もなかったのは残念だった。年末の忙しい時期の開催であり、会場の奈良大学への交通も不便であったことが原因だと考えられる。

研究会参加者:20名(会員1名、非会員19名)

                                          (文責:芹澤知広会員)

■2008年度第2回研究会の報告■

日時:2008年7月19日(土)13:30~18:00
会場:東洋大学白山キャンパス5号館(大学院棟)5B11教室
司会:山本須美子会員(東洋大学社会学部准教授,企画委員)

発表(1)発表者:津田浩司会員(日本学術振興会特別研究員PD)
論題:「再華人化」の再検討―ポスト・スハルト期インドネシア地方都市における中国語ブームを手がかりにー
コメンテーター:北村由美会員(京都大学東南アジア研究所)

発表(2)発表者:松村智雄会員(東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程)
論題:スハルト後のインドネシアにおける、華人社会にとっての儒教、国家にとっての儒教―華人の権利回復過程は国家の枠組みをどう変えたか―
コメンテーター:貞好康志会員(神戸大学国際文化学部)

 津田発表では、2006年半ばにジャワの一地方小都市ルンバンで起きた中国語(北京官話)学習ブームを取り上げ、そこで学ぶ人々の語りから当事者の生活実感を通して「再華人化」と結論付けたくなる現象を再考した。次の松村発表は、ユドヨノ政権が儒教を公認宗教であると宣言した結果、2005年以降ジャワ神秘主義の間に儒教と同様の扱いを国家に対して要求する動きが活性化したのは、スハルト政権がジャワ神秘主義と儒教を同じ土俵の上で扱ったことに起因することを論じた。
 本研究会は二発表ともインドネシア華人に関するものであったため、インドネシア華人の専門家たちによって熱のこもった専門性の高い議論が繰り広げられた。


研究会参加者:20名(会員10名、非会員10名)
懇親会参加者:7名
                                   (文責:山本須美子会員)



■2008年度第1回研究会の報告■


日時:2008年7月12日(土)午後2時15分~午後5時45分
場所:東京大学駒場キャンパスⅠ(教養学部) 18号館4階コラボレーションルーム2

第1報告
報告者:日野みどり氏(金城学院大学現代文化学部 教授)
論題:「日本占領期香港の学びと暮らし」

第2報告者
報告者:和仁廉夫氏(ジャーナリスト)
論題:「香港軍政史研究十五年-97年回帰を境に変わった視座」

第1報告者の日野氏は、現代中国の人材市場や職業観について多彩な論考を発表されてきたが、今回は3月に刊行されたばかりの訳書『日本占領期香港の子どもたち-学びと暮らしのオーラルヒストリー』(凱風社、2008年)を題材に、日本軍政下の香港での教育と暮らしについての知見を披露してくださった。第2報告者の和仁氏は香港軍票訴訟以来、香港軍政史研究に取り組まれてきた。その15年間の研究歴を踏まえて、香港在留邦人の視点や、珠江デルタや中国の抗日戦争史と関連づける視点の重要性を指摘した。
本研究会は日本広東研究会との共催であり、科学研究費基盤研究C「華南地域社会の歴史的淵源と現在」の研究活動の一環であった。今回は香港軍政期に関しての報告が2本揃ったため、日本軍政に関心を持つ方の参加も見られた。また、香港研究者が金沢からも参加し、さまざまな刺激的な質問が飛び交った。

研究会参加者:11名(会員4名、非会員5名、報告者2名)
懇親会参加者:6名
                                     (文責:谷垣真理子会員)

■2007年度第4回研究会の報告■

日時:2008年2月28日(木)18:30~20:00
会場:慶應義塾大学三田キャンパス 南館5階ディスカッションルーム

発表者:東條哲郎会員(東京大学大学院人文社会系研究科博士課程)
論題:「マレー半島における華人錫鉱業と海峡植民地:19世紀後半から20世紀初頭における生産と流通を中心に」
コメンテイター:古田和子会員(慶應義塾大学経済学部教授)
司会:吉原和男会員(慶應義塾大学文学部教授,企画委員)

研究会参加者:10名(うち2名は入会希望者)
懇親会参加者:9名

                                 (文責:吉原和男会員)

■2007年度第3回研究会の報告■

日時:2008年1月26日(土)13:30~18:00
会場:東洋大学白山キャンパス5号館(大学院棟)5B11教室
司会:山本須美子会員(東洋大学社会学部准教授,企画委員)

発表(1)
発表者:相沢伸広氏(アジア経済研究所研究員,入会申請中)
論題:「華僑・華人問題とインドネシア-中国関係 1966-1967」
コメンテーター:津田浩司会員((東京大学大学院総合文化研究科)

発表(2)発表者:奈倉京子会員(厦門大学人文学院ポストドクター)
論題:「インドネシア帰国華僑のアイデンティティの形成とその変容」
コメンテーター:川崎有三氏(防衛大学校教授)

 相沢発表は、1965年~67年というインドネシアと中国の関係が非常に変化した時期に絞り、インドネシアのチナ問題解決基本政策にみる華人とインドネシア国家と中国という三者の関係について論じた。次の奈倉発表は、主に広東省台山海宴華僑農場での1年半に渡るフィールド調査に基づいて、インドネシア帰国華僑のアイデンティティ形成とその変容について検討した。
 本研究会はインドネシア華僑とインドネシア帰国華僑に関する発表であったため、インドネシアを専門とする研究者が神戸や名古屋からも集まり、学際的な熱のこもったディスカッションが繰り広げられた。

研究会参加者:19名(会員7名、非会員12名)
懇親会参加者:8名
                              (文責:山本須美子会員)

■2007年度第2回研究会の報告■

日時:2007年12月1日(土)13:30~18:00
        2日(日)10:30~16:00
会場:東京外国語大学本郷サテライト7階会議室
司会:三尾裕子(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授,企画委員)

 本研究会は,東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所共同研究プロジェクト「中国系移民の土着化/クレオール化/華人化にいての人類学的研究」及び科学研究費補助金基盤研究(A)「東南アジアにおける中国系住民の土着化・クレオール化についての人類学的研究」(どちらも,代表:三尾裕子)の研究会です。両研究会は,原則的には,非公開の研究会ですが,今回は,海外より研究者をお招きして開催し,より多くの関連の研究者にご参加いただくために,日本華僑華人学会より後援をいただきました。

【プログラム】
12月1日(土)13:30~18:00 
≪ワークショップ≫ ベトナムにおける中国系住民の歴史・文化とアイデンティティ
             -ホイアンの事例から(ベトナム語-日本語通訳つき)
 1. 三尾裕子会員
   「序-ホイアンにおける「華人」と「明郷(Chinese Peranakan)」
 2. Tong Quoc Hung氏(Hoi An Center for Monument Management and Reservation)
   通訳:比留間洋一氏(静岡県立大学助教,非会員)
   "Chinese - Minh Huong People in Hoi An Trade Port in the Past"
   (往時の会安商港における華人と明郷人)
 3. Truong Duy Tri氏(Hoi An Center for Culture and Sports)
   通訳:新江利彦氏(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所フェロー,非会員)
   "The Clan of Truong Don Hau, Minh Huong Village, Hoi An Town:
    The Process of Living and Integration in Hoi An, VIET NAM"
   (越南会安明郷張敦厚族:会安における生活と統合の過程)
 コメンテイター:蓮田隆志氏(大阪大学,非会員)

12月2日(日)10:30~15:30
 1. 片岡樹氏(目白大学,非会員)
   「南タイ福建人社会のババ文化と土地公祭祀-プーケットの事例より-」
 2. 山本須美子会員(東洋大学)
   「EUにおける中国系第二世代のアイデンティティ-イギリスとフランスの比較から」

                                          (文責:三尾裕子会員)

■2007年度第1回研究会の報告■


日時:6月16日(土)13:00~17:00
会場:慶應義塾大学 三田キャンパス

司会 吉原和男企画委員

発表(1)
発表者:北村由美会員(京都大学東南アジア研究所)
論題:「インドネシアにおける孔子教の再公認化をめぐって」

発表(2)
発表者:成瀬千枝子会員(関西学院大学大学院研究員)
論題:「日本の華人ビジネスの変容-大阪の江蘇省出身者を中心に-」

北村報告に対しては山本信人企画委員からコメントがなされ、成瀬報告に対しては周飛帆会員からコメントがなされた。参加者からは多くの質問やコメントがあり、終了後には懇親会が持たれた。

研究会参加者:28名(うち会員:15名、非会員13名)
懇親会参加者:9名
                                    (文責:吉原和男会員)

■2006年度第6回研究会の報告■


日時:2007年1月27日(土),14:00-18:30
会場:東洋大学5号館(大学院棟)5B11教室
司会:山本須美子会員(東洋大学)

発表(1)
発表者:野澤知弘会員(日本医科学総合学院)
論題:「カンボジアの華人社会―華人学校の再興と発展―」
コメンテーター:山本須美子会員(東洋大学)

発表(2)
発表者:渋谷玲奈会員(成蹊大学・非常勤)
論題:「戦後における華僑と留学生の統合について―華僑・留学生関連刊行物を資料として」
コメンテーター:曽士才会員(法政大学)

 野澤会員の報告では、東南アジアで最大規模の華人学校が存在するカンボジアの華人学校の歴史と現状を、2002、03 年の現地調査で入手した資料に基づき、映像も交えながら紹介された。カンボジアが対外開放政策をとった1989年以降における華語教育の発展要因を、カンボジア政府の対中政策や対華人政策および中国側の積極的な支援の動きから分析するとともに、校舎不足や校舎の老朽化、教員の質向上といった華人学校が抱える諸問題と今後の展望について述べられた。
 渋谷会員の報告では、戦後の日本における華僑社会の形成期において、留学生と華僑がいかに連携を深めてきたのか、国立国会図書館プランゲ文庫所蔵や個人所蔵の、1946年から47年に刊行された華僑関連の雑誌を手がかりに検討された。戦後の困難な政治状況、生活条件を共有する留学生(大陸出身者、台湾出身者)と華僑が連携を深めていく様子が、日本の警察による発砲で死傷者を出した「渋谷事件」をめぐる救済活動や僑民登録、特配など具体的な事例を挙げながら紹介された。
報告者2名の熱の入った発表に予定時間が過ぎるほど活発な質疑応答が行われた。研究会終了後、大学近くの居酒屋で発表者を囲んでの懇親会が開かれた。そこでも引き続き活発に質疑応答が交わされた。 

研究会参加者:17名(うち学会員5名、東洋大学教員・学生・OB 9名、一般の方3名)
懇親会参加者:7名

                                          (曽士才 記)

■2006年度第5回研究会の報告■

日時:12月2日(土),14:00-18:00 

会場:東京外国語大学本郷サテライト3階


司会:三尾裕子会員(東京外国語大学 アジア・アフリカ言語文化研究所 企画委員)

発表(1)14:00-16:00
発表者:津田浩司会員(東京大学大学院博士後期課程)
論題:「『華人国家英雄』の誕生?-ポスト・スハルト期インドネシアにおける華人性をめぐるダイナミズム」
コメンテーター:貞好康志会員(神戸大学)

発表(2)16:00-18:00
発表者:新井和広氏(東京外国語大学 アジア・アフリカ言語文化研究所)
論題:「東南アジア住民としてのアラブ:アイデンティティをめぐる諸相」
コメンテーター:小林寧子氏(南山大学)

 今回の研究会では、インドネシアにおける移民のローカリゼーションを視野に、華人とアラブ系移民のケースをご発表いただいた。
 津田会員の報告では、98年のスハルト体制崩壊以降に盛んになってきた「華人らしさ」を前面に出すような動きが、従来日々の生活の中で「華人性」なるものを長らく顕示的に語ることのなかった人々にとってはどのように映るのかを明らかにすべく、2003年にジャカルタの華人団体が試みた「華人国家英雄」を生み出そうとしたプロジェクトの顛末が詳細に分析された。
 新井氏の報告は、東南アジアにおけるアラブ(ほとんどが、南アラビアのハドラマウト地方出身のムスリム)の概要、特にアラブのアイデンティティの諸側面を紹介することにより、華人サイドとの比較、さらには華人をテーマとする研究者との共同研究の可能性を探る目的で行われた。新井氏によれば、ハドラミーが所有する独自の系図と宗教者の活躍が、彼らのアイデンティティの根源であるが、またインドネシア社会への同化や政治への貢献も、彼らの自己認識の重要な部分を占めているという。
 対象がインドネシアに限定されていたので、ホスト社会による移民およびその子孫(華人及びハドラミー)の受け入れ、現在のインドネシア社会におけるそれぞれの立ち位置についての意識の差異など、興味深い問題が論じられた。

研究会参加者:13名
懇親会参加者:9名
                                          (三尾裕子 記)

■2006年度第4回研究会の報告■


日時:2006年10月6日(金)、18:30-20:30
会場:慶應義塾大学三田キャンパス南館5階ディスカッションルーム

司会:曽 士才 会員(法政大学教授、企画委員)
発表者:飯島典子 会員(文教大学非常勤講師)
論題:「広東省と東南アジアの錫鉱山を結ぶ鉱夫の移動
     -広東東部とマレーシアを事例として」
コメンテイター:山本信人 会員(慶應義塾大学教授、企画委員)

発表テーマに強い関心を持つ会員数名を含む9名が出席して活発に発表と質疑応答を行なった後、懇親会が開かれ、7名が参加した。

■2006年度第3回研究会の報告■

日 時:7月7日(金),18:15-20:30
会 場:慶應義塾大学三田キャンパス,南館5階D-2051

発表(1)
司会:吉原和男 会員(慶應義塾大学文学部教授)
発表者:川口幸大 会員(東北大学大学院文学研究科博士後期課程)
論題:「宗族復興にみる現代中国の「歴史」・「文化」-二つの僑郷コミュニティの事例から」

 今日の中国において、「伝統的」な文化はいかにして公的評価を得て再構築されて人々のアイデンティティや帰属意識の充足に寄与しうるかを、父系親族集団 である宗族の復興を事例にして考察した。事例には、復興した宗族と対比して復興しなかった宗族が取り上げられ、その理由、背景が検討された。2001-2 年の広州市における現地調査で入手した資料・映像が紹介され、活発な質疑が行われた。

発表(2)
司会:山下清海 会員(筑波大学大学院生命環境科学研究科教授)
発表者:崔 晨 会員(拓殖大学海外事情研究所華僑研究センター 客員研究員)
論題:「ベトナムにおける華人資本の変遷」

 ベトナムにおける中国人移民の形成史、華僑人口の動態・分布についての概説のあと、今日にいたる「華人資本」形成と変遷およびその特質について述べら れ、発表者が研究を展開するに当たっての予備的報告がなされた。質疑・コメントでは、ベトナムにおける華人資本発展の可能性と研究における今後の課題が論 じられた。

参加者数 例会   19名(うち学会員15名、慶応義塾大学教員・学生4名)
       懇親会 12名

■2006年度第2回研究会の報告■

日 時: 6月2日(金)18:30-20:00
会 場: 慶應義塾大学三田キャンパス,南館5階D-2051

司会: 吉原和男 会員(慶應義塾大学文学部教授)
発表者:王雪萍 会員(慶應義塾大学グローバルセキュリティ研究所助手)
論題:「改革・開放期中国における帰国留学生の就職制度の変化と留学生の海外滞留問題」
コメンテーター:杉村美紀 会員(上智大学総合人間科学部教員)

 今回の王雪萍氏の発表は、王氏ご自身の博士論文(慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科、2006年)の内容にもとづいたものである。発表のなかで王 氏は、まず帰国留学生の就職制度の変化とその要因にふれたうえで、1980年から1984年までに日本に派遣された留学生へのインタビューの成果をもと に、帰国留学生に関する就職制度の変化が留学生たちにどのような影響を与えてきたのかについて論じている。コメンテーターの杉村氏の言葉にもあったよう に、王氏の研究は、中国における留学というものが人材育成政策の一環として戦略的に捉えられている状況において非常に有意義なものであるものといえるだろ う。熱のこもった発表を反映して、報告後の質疑応答も活発に交わされた。
 研究会終了後、学内カフェテリアにおいて発表者を囲んでの懇親会が開かれた。そこでも引き続き活発に質疑応答が交わされた。                          

参加者数 例会   26名(うち学会員14名、慶応義塾大学学生12名)
       懇親会 16名(うち学会員10名、慶応義塾大学学生6名)


■2006年度第1回研究会の報告■

日 時: 5月20日(土)15:00-18:00
会 場: 東京大学駒場キャンパス,18号館4階コラボレーションルーム1

司会:谷垣真理子 会員(東京大学大学院総合文化研究科 助教授)

発表者:久末亮一 氏(東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻 助手)    
論題:「香港における華人企業家のビジネス・ネットワーク
             -『新世界発展』の形成と展開を事例として」

発表者:篠崎香織 会員(欧亜大学[マレーシア孝恩文化基金合同キャンパスプログラム]客員研究員)
論題:「ペナンの華人が『華僑』という語に込めた思い
             :中国の秩序構築に対する発言権拡大の試み」

 会場設営の不手際で液晶プロジェクターが使えないというアクシデントに見舞われたが、久末氏・篠崎氏ともに知的刺激の大きい発表を行ってくれた。
 まず、最初に久末亮一氏が、本年3月に行ったインタビューを手がかりに、鄭裕?と楊志雲がいかにして「新世界集団」を構築し、発展の過程でどのような変 化がおきたのかを綿密に分析してくれた。配布資料にも、1970年から98年までの理事会名簿など興味深いデータがふんだんに盛り込まれていた。
 一方、篠崎香織氏は、20世紀初頭のペナンの華人が、海峡植民地と中国の公権力双方にどのようにして働きかけたのかを一次資料を駆使して綿密に裏付け た。パワーポイントのスライドの1コマ、1コマには多用なエピソードが盛り込まれ、実にさまざまな知見を参加者に与えてくれた。
 熱のこもった発表を反映して、報告後の質疑応答も活発であった。「信用」や「華人」が具体的に何を指すかという質問から、20世紀初頭の国家意識、団体名の訳出法にいたるまで、議論は尽きなかった。
 研究会終了後、駒場キャンパス内の「ルヴェソンヴェール」で懇親会を開催した。本来は報告者お二人のご慰労の宴であったが、テーブルではさらに議論が深められていったと記憶する。

参加者数 例会   24名(うち学会員18名、一般の方6名)
       懇親会 15名(うち学会員14名、一般の方1名)


第5回例会の報告

日時:2005年9月17日(土)18:00~20:00
会場:横浜華僑婦女会館ホール(横浜市中区山下町134)

報 告:黄 偉 初 (『横浜山手中華学校百年校誌』編集委員長,前横浜山手中華学校校長)

題 目:『横浜山手中華学校百年校誌』編纂から見えたもの

 今回の例会のコーディネーターを務められた伊藤泉美氏(横浜開港資料館)の進行で進められた。黄偉初先生の報告は,横浜山手中華学校100年の歴史を,1時間半あまりにわたり話された。黄先生の話の後,質疑応答に入ると,次々と参加者から質問が出て,熱心なディスカッションが続き,予定終了時間を超えるほどの関心の高さであった。
 黄先生の話を伺い,『横浜山手中華学校百年志』を一瞥して,全体の内容もさることながら,140年に及ぶ「横浜山手中華学校歴史年表」(横浜華僑総会会長曽徳深氏作成で,38ページを占める)が最後に掲載されており,横浜山手中華学校の華僑教育史だけでなく,世界の華僑教育や横浜・日本華僑の出来事,中国・日本の出来事が一目で見られ,たいへん参考になった。
    例会の参加者: 会員11名,非会員7名,横浜山手中華学校関係者7名,計25名
                                                    

    【山岸 猛 記


第4回例会の報告

日 時:2005年7月12日(火) 18:00~19:50
会 場:慶応義塾大学 三田キャンパス 大学院校舎1階 311号教室

発表者: 山 下 清 海(筑波大学大学院教授,本学会常任理事)

題 目: 世界と日本の華人社会の動向~増加する中国新移民とニューチャイナタウンの形成~
                                  
 <PowerPoint使用>

  まず,本例会の会場設定にご尽力された吉原和男氏(本学会常任理事)からあいさつがあり,次に司会の山岸 猛氏(本学会,例会担当常任理事)から,例会開催の趣旨説明および発表者の山下清海氏の紹介があった。
 その後,山下氏から次のような内容についての発表が行われた。

  1.最近における世界の華人社会の動向
  2.中国の僑郷
  3.世界各地の華人社会・チャイナタウン
  4.事例研究        
   (1)ロサンゼルス大都市圏の華人社会の変容
   (2)東京大都市圏の華人社会の変容
       池袋チャイナタウン,埼玉県川口芝園団地

 発表は,フィールドワークで自ら撮影した100枚近い世界各地のチャイナタウンの写真を用い,説明もとても分かりやすく,説得的であった。しかも新たな重要な問題提起も多く含むもので,教えられることが少なくなかった。例えば,新移民時代の祖国への回帰派出現やヨーロッパ,北アメリカなど非アジア圏への新移民(知識人も少なくない)の急増傾向,華人社会の多様化へと繋がる発表などが,その一部分である。
 発表内容が充実した分,質問の時間が5~6分という短いものになったが,グローバリズム,ローカリズムと新移民について,および新移民の定義づけなどの質疑応答も行なわれ,時の経つのが大変はやく感じられた例会だった。
 今回の例会は非会員にも公開され,会場の慶応義塾大学の教員および学生,その他,文化人類学関係者や中国問題に関心を持つ非会員の方々も多数参加され,主催者の予想を越える出席者があり,非常に盛会であった。

 発表終了後,急遽,交流の機会をもつことになり,三田キャンパス近くの中国料理店「大連」において,大学院生・中国留学生たちも含めて,お互いの関心ある分野や,貴重な体験談などを語りながら,たいへん和やかな雰囲気で懇親会を行った。
   例会の参加者: 会員23名,非会員20名,計43名(名簿記載者のみ)
   懇親会の参加者: 21名
                          【山岸 猛・山下清海 記,   写真:大谷俊典】

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発表する山下清海氏 例会会場の様子

第3回例会の報告

      日時: 2004年8月6日(金)15:00~17:00

      場所: 日本財団ビル4F大会議室

      内容: 陳東華氏(泰益興産株式会社)の講演と懇談会

           テーマ:『近代長崎華僑の誕生』

      懇親会: 18:00~20:00 中国料理店「頤和園(溜池山王店)」 会費4000円

 まず、司会役の伊藤泉美さん(横浜開港記念館)から、講演者の陳東華氏が,長崎華僑の著名な貿易商社「泰益号」の創業者の4代目にあたられ,華僑社会の歴史的な研究に取り組んで来られたことなどの紹介があった。
 陳氏の講演内容は,幕末から今日にいたるまでの長崎華僑社会の変遷に及んだが,特に,ご自分で執筆された別刷「長崎居留地の中国人社会」(『幕末・明治期における長崎居留地外国人名簿III』〔長崎県立長崎図書館〕2004年所収)や,自ら作成された配布プリント「近代長崎華僑史年表」に基づいて、安政の開港前後以降の唐人屋敷,大浦居留地,新地などにおける当時の華僑社会について語られた。
 とりわけ,長崎の華僑社会の中での福建人,三江人,広東人などの地位や相互関係などについても言及された。 
 その後、フリーディスカッションとなり、話題は福清人の行商,「華僑」・「華人」の呼称問題などにも及び,その後の議論は,場所を懇親会場に移した。

(参加者: 例会 22名、懇親会 16名)    【山下清海 記】

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例会の様子 左は陳東華氏、右は伊藤泉美さん(司会) 講演中の陳東華氏 懇親会の様子

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第2回例会の報告

 日時: 2004年2月14日(土)15:00~17:50

 場所: 日本財団ビル4F大会議室

 内容:神戸華僑歴史博物館・王柏林館長と横浜華僑総会・曽徳深会長の講演と懇談会
    テーマ:『神戸・横浜における華僑・華人の動向』

 懇親会: 18:00~19:30 中国料理店「黄鶴楼」(日本財団近く) 会費4000円

 まず、進行役の游仲勲会長から、講演者お二人の紹介があった。
 最初の講演者、神戸華僑歴史博物館の館長である王柏林氏からは、ご自分で執筆された「『王敬祥関係文書』について」(孫文研究、28、2000年7月)に基づいて、神戸の華僑社会の歴史を中心にお話いただいた。
 つづいて、横浜華僑総会の会長である曽徳深氏からは、ご自分で作成された「報告メモ」およびその他多くの配布資料に基づいて、華文教育問題を中心に講演していただいた。
 その後、フリーディスカッションとなり、神戸と横浜の華僑・華人社会の差異(新華僑が多い横浜、少ない神戸など)、中華街の今後のあり方、地下鉄みなとみらい21線開通で賑わう横浜中華街の今、など話題は多岐に及び、予定の時間を大幅に延長して終了した。 
 例会終了後、場所を中国料理店「黄鶴楼」に移し、お二人の講演者を囲んで、懇親の宴を開催した。

(参加者: 例会 35名、懇親会 18名)    【山下清海 記】

例会の様子 左から王柏林氏、曽徳深氏、游仲勲会長 王柏林氏 曽徳深氏

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第1回例会の報告

日時: 2003年8月29日(金)15:00~17:30

場所: 日本財団ビル4F大会議室

内容:  陳焜旺名誉会長と殷秋雄新会長の講演と懇談会

テーマ: 『留日華僑聯合総会から日本華僑華人聯合総会へ』

懇親会: 18:00~19:30 中国料理店「黄鶴楼」(日本財団近く) 会費4000円 

 まず,陳焜旺名誉会長から,戦後在日華僑の政治的運動を中心に,実体験にもとづく話がなされた。続いて,殷秋雄新会長から,留日華僑聯合総会から日本華僑華人聯合総会への改称の背景,役割の変化などについて説明があった。その後,出席者を交えて活発な質疑応答があり,第1回例会としては,成功裡に終わった。
               (参加者: 例会 28名、懇親会 22名)  【山下清海 記】

例会の様子 左から陳焜旺氏、殷秋雄氏、段躍中氏

 

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特別企画

■2011年度第1回特別企画の報告■


テーマ: チャイナタウンの研究と教育

日時: 2011年5月14日(土)14:00~17:10
         5月15日(日) 9:00~11:30

場所: 大分県立社会教育総合センター2F視聴覚室

プログラム:
【1日目・14日】: 研究会

14:00~15:30
 第一報告: 大栗真佐美会員(大阪大学大学院)
  「日籍華人の教育観―中国帰国者3世のアイデンティティから―」
 コメント: 藤井久美子会員(宮崎大学)
 司会: 甘利弘樹会員(大分大学)

15:40~17:10
 第二報告: 園田節子会員(神戸女子大学)
 「大学の国際理解教育における訪問型授業と招聘型授業の試み」
 コメント: 篠崎香織会員(北九州市立大学)
 司会: 甘利弘樹会員(大分大学)

【2日目・15日】: エクスカーション
 9:00~11:30
 大分市歴史資料館(テーマ展示: 豊後南蛮交流史)の見学


 第一報告では、日籍華人と呼称する中国帰国者へのインタビュー調査を通して、彼らのアイデンティティ及び教育観が検討された。中国帰国者1世~3世からなる家族には、言語・ライフスタイル等において世代によるギャップが存在している。とりわけ受けた教育とそれによって形成された教育観は、インフォーマントの具体的な証言から、子弟の中国語教育や進学・留学に対して深い影響を与えていることが鮮明に見て取れる。また本報告を通して、中国帰国者が子弟の教育の場を模索している様態が浮き彫りになった。
 第二報告では、報告者の大学でのチャイナタウンに関する授業実践をもとに、華僑を学ぶプロセスにおける可能性や課題について分析が行われた。上記授業では、神戸南京町をフィールドとしつつ訪問型・招聘型の授業スタイルが実践された。この実践例によって、フィールドワークの教育効果や、華人を講師として招聘した授業の展開とその意義が、具体的に明示された。それと同時に両スタイルの授業が持つ課題を提示し、「多文化社会」への理解を学生に促すメソッドが希求されることを指摘した。
 コメント・ディスカッションでは、華僑・華人及びチャイナタウンの研究における方法・理論をめぐって意見・質問が多数出された。特に用語の定義・使い方、そして調査の目指す方向性について検討する必要性が提案された。また、研究成果を教育現場や社会にフィードバックする際に、受講する学生や社会の構成員に対して、いかなる方法が有効であるか、どのようにして興味・関心を惹起できるかを考えさせられた。
 なお研究会翌日には、エクスカーションとして、大分市歴史資料館のテーマ展示「豊後南蛮交流史」を、館員の説明を受けつつ見学した。当該展示では、16世紀の九州と東南アジア・ポルトガルとの交流を表す絵図・遺物を間近に観ることができ、啓発されるところが多々あった。
 本企画への参加者は15名であった。遠路参加いただいた方々のありがたいご協力は、言い尽くせない程である。研究会の地方開催にはスタッフ不足等の問題があるが、ディスカッションが白熱したり、エクスカーションで情報交換が弾んだりするなど、活気に溢れていた点は救われた思いがした。

研究会参加者:15名(会員10名、非会員5名)

(文責:甘利弘樹会員)

■函館中華会館創立100周年記念シンポジウムの報告


●1日目
 日時:2010年9月11日(土)午後1時~午後4時

 場所:函館中華会館、函館中華山荘、旧函館外国人居留地跡の特別見学会・散策会

 案内:任道治(函館華僑総会理事)


●2日目
 日時:2010年9月12日(日)午前10時~午後4時

 場所:函館市中央図書館 視聴覚ホール

 記念講演:曽士才(法政大学国際文化学部 教授)
  題目:「日本華僑の文化財の現状と課題」

  第1報告者:玉井哲雄(国立歴史民俗博物館 教授)
   論題:「都市函館の歴史と中華会館の建築」

  第2報告者:川嶋稔夫(公立はこだて未来大学システム情報科学部 教授)
   論題:「デジタル技術を利用した文化財の保護と活用」

  第3報告者:小川正樹(函館ラ・サール高等学校 教諭)
   論題:「函館に残された文化財―函館中華会館の調度品」

 記念講演では日本各地の華僑社会における文化資源の現状が報告された。また、日本育ちの3世、4世が新たな伝統を創出している事例として長崎のランタンフェスティバルが紹介され、長崎華僑が地元社会に開かれた集団になるなか、文化資源としての伝統文化の共有を確認することによって、集団としては結束力を維持、強化し、個人としては、中国人でもなく日本人でもない、華僑としてのアイデンティティを模索しようとしていることが指摘された。函館に関しては、有形の文化財は残されているが、儀礼などは簡素化されており、伝統文化の継承と保存のあり方が課題とされた。第1報告では建築史・都市史の視点から函館の建築物が紹介された。函館西部地区には明治40年の大火後の建築物が数多く残され、函館の景観の中心をなしており、上下和洋折衷の住宅が多いことも特徴とされた。宗教建築と一般住宅とは建築様式が全く異なる日本に対して、中国では両者が同一の様式で建てられ、中華会館を宗教施設か商業施設か区別することは、建築学の立場からは意味がなく、あらためて本格的な中国建築としての質の高さが強調された。第2報告ではデジタル技術を駆使して歴史記録や美術品を保存・活用する手法が世界中で注目を集めていることが指摘され、その実例として函館の高龍寺の「釈迦涅槃図」のデジタル化の効果が紹介された。今回は建築物や調度品に対するデジタル画像記録の実験が行なわれ、函館中華会館の関帝壇の高精細画像が記録され、その成果が検討された。第3報告では函館中華会館に残されている椅子や机、台などの調度品の紹介が行なわれ、これらの調度品が国内の他の華僑社会と共通点があることが指摘された。函館中華会館の調度品と長崎の唐寺の調度品には彫刻や形態に多くの共通点が見られ、その共通点はさらに大阪の関帝廟の調度品にも見られた。また函館中華会館の構造と黄檗宗寺院の構造にも共通点が見られることが指摘された。国内の華僑文化の共通点を掘り起こし、この文化を継承していくことが日中の相互理解につながる点が強調された。
 今回のシンポジウムには、地元の市民以外に、報告者を含めると東京や大阪、神戸から会員8名が参加した。東京以外の地方における研究会としては一定の成果を得ることができたと考えられる。地方における研究会活動は学会としても今後の課題であるが、地方在住の会員が研究会活動に積極的に関わることで、他地域の研究者との交流が進められ、地方における研究活動を活性化する可能性を実感することができた。今後、いろいろな地方において地元市民と協力した研究会活動が行なわれることを期待したい。また、今回は日本華僑華人学会から講師謝礼分の資金協力を得た。


↑シンポジウム
 (会場の様子)
↑シンポジウム
 (曽士才教授講演)
↑懇親会
 (学会関係者他)
↑懇親会
 (函館華僑総会任道治理事)
↑総合討論会 ↑特別見学会 ↑特別見学会

研究会参加者:70名(会員6名、非会員62名、報告者2名)
懇親会参加者:25名(会員8名、非会員17名)


(文責:小川正樹会員)


■2009年度特別企画(函館)の報告■

日 時:2009 年8月9日(日)13:30~15:00
会 場:函館中華会館(函館市大町1-12)
報告者:小川正樹会員(函館ラ・サール高等学校)
論 題:「清国領事館と同徳堂三江公所」

 今年の特別研究会の報告は、『田本アルバム』(田本研造の撮影した明治期の北海道開拓の様子を写した貴重な写真帳、函館市中央図書館蔵)の写真から、明治10年代から20年代にかけての函館の主要な建築物を検討することで、「清国領事館」(函館区舟見町40番地)と「同徳堂三江公所」(同鍛冶町3番地)の建築物を確定した。『田本アルバム』には、明治19年か22年の函館港全景写真と、明治25年から29年までの函館港全景写真が収められており、このうち、双方の写真に焼失前の「同徳堂三江公所」の建物が写っており、後者の写真に明治25年に建築された「清国領事館」の建物が写っている。「同徳堂三江公所」は、トーマス・ブラキストンが借用した建物を、ジョン・ヘンソン、ジョン・ウィルソンというイギリス人の手を経て同徳堂(代表張尊三)が借用したもので、「同徳堂不動産登記」(函館中華会館所蔵)に掲載されている4棟の洋館がはっきりと写っている。「清国領事館」は洋風2階建の立派な建築物で、2階前面には大きなバルコニーが設置され、領事館敷地内には国旗掲揚用のポールも立てられている。この領事館は明治25年に建設されたが、明治29年には大火で焼失してしまい、わずか4年余りしか存在しなかった。明治年間の函館華僑や中国に関する建築物の多くが洋風であり、多くの大火を経た明治43年(1910年)に、純中国様式の現在の函館中華会館が建設されることになった。

研究会参加者:50名程度(うち会員3名、非会員47名程度)
懇親会参加者:11名(うち会員3名、非会員8名)

文責:小川正樹会員

■2008年度特別企画(長崎)の報告■


日時:2008年11月8日(土)午後1時半から4時半
会場:長崎歴史文化博物館ホール(長崎市立山1丁目1-1)
「唐通事・蘭通詞」子孫をめぐる講演会
総合司会:清島 豊氏 (日本媽祖文化交流協会理事・事務局長)
挨拶
 大堀 哲氏 (長崎歴史文化博物館館長)
 林 陸朗氏 国学院大学名誉教授(唐通事子孫)
講演
 原田博二氏 (長崎歴史文化研究所所長) 
  論題「和蘭通詞志筑家とその墓地について」
 陳 東華会員 (長崎中国交流史協会専務理事)
  論題「唐通事潁川藤左衛門とその子孫」
パネルディスカッション  
 司会:若木太一氏 (長崎中国交流史協会会長)
 パネリスト:宮川雅一氏 (長崎史談会顧問)
        堀 孝彦氏 (蘭通詞加福家子孫)
        加福共之氏 (蘭通詞加福家子孫)
        平井靖人氏 (唐通事平井家子孫)
        東海安興氏 (唐通事東海家子孫)
通事関係資料展示:平井家文書(JALシティ1階)

 陳東華会員のご尽力で特別研究会(長崎)は2008年11月8日に盛会裏に開催された。2日間にわたる講演会と交流会のうち、本学会特別研究会(長崎)は、1日目の「唐通事・蘭通詞」講演会を後援する形で開催された。講演会と交流会の主催は長崎歴史文化博物館・長崎史談会・長崎中国交流史協会であった。すでに長崎では4年前に唐通事をめぐる講演会、2年前に蘭通詞をめぐる講演会が開催され、今回は唐通事・蘭通詞の初の合同講演会となった。定員160人の会場で、補助席・立ち見の方をあわせて、最終的には200人近くの方が講演会に参加された。会場には長崎新聞など日刊各紙のほか、テレビ局も取材に来て、長崎市民の関心の高さをうかがわせた。
 唐通事・蘭通詞は江戸時代、長崎の出島で中国語とオランダ語との通訳をつとめた人々である。唐通事は基本的に中国人が、蘭通詞は日本人がその職に就いた。唐通事と蘭通詞の「事」と「詞」の違いには意味がある。蘭通詞の仕事は主に通訳に限定されていたが、唐通事は通訳のほかに貿易管理の任務も担っていた。したがって、中国との貿易量が増加すると、唐通事の人数は蘭通詞を上回り、人事組織も唐通事の方が複雑であった。
(詳細はhttp://sankei.jp.msn.com/life/trend/081108/trd0811082024014-n1.htm
 http://www.nagasaki-np.co.jp/kiji/20081109/02.shtm
 http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/nagasaki/news/20081108-OYT8T00623.htm
 http://mytown.asahi.com/nagasaki/news.php?k_id=43000000811100003 ) 
 なお、講演会終了後、ご子孫を交えた懇親会が京華園(長崎市新地)で開催された。翌11月9日(日)は午前中に唐通事・蘭通詞墓参りを行い、お昼前より興福寺(長崎市寺町)で先祖法要が営まれ、普茶料理による交流昼食会が開催された。
長崎での開催ではあったが、本学会からは九州本土のほか、沖縄、東京から会員が参加した。

講演会参加者:200名(会員5名、非会員184名、報告者・司会など11名)
懇親会参加者:70名 (会員5名、非会員名)
 
(文責:谷垣真理子会員、監修:陳東華会員)

唐通事・蘭通詞のご子孫によるパネルディスカッション 長崎歴史文化博物館ホールを埋めうつくす参加者 平井家文書の公開、左端は平井靖人氏(唐通事ご子孫)
林・官梅家墓地、林陸朗・国学院大学名誉教授(唐通事ご子孫)ご夫妻(中央)と陳東華会員(左2) 加福家墓地、手前は加福共之氏(蘭通詞ご子孫) 興福寺での合同法要

■2008年度特別企画(函館)の報告■


日時:2008年7月26日(土)13:30~15:40
会場:函館中華会館、函館中華山荘
進行:小川正樹(函館ラ・サール高等学校、企画委員)

報告会
  報告者:小川正樹
  論題:箱館開港と中華会館

 2008年度の第1回特別研究会(函館)は、函館中華会館を会場に開催されました。当日は多くの函館市民のほか、函館での開催にもかかわらず東京や四国からも学会会員に参加していただいた。
本報告では、1982年に斯波義信先生がまとめられた『函館華僑関係資料集』や『北海道庁統計書』をもとに、函館華僑の特徴と函館華僑を代表する人物を取り上げながら、函館華僑と地元函館との交流を、函館開港から中華会館建設までの約50年間を中心にまとめた。
 本報告会の後、函館華僑総会の任道治副会長の案内により、中華会館内部の詳しい解説が行われ、さらに参加希望者に対して、近くの中華山荘見学をおこなった。参加した函館市民も、報告内容や中華会館の説明を熱心に聞いていた。
 なお、今回の研究会は、地元の「はこだて外国人居留地研究会」との共催でおこなわれ、研究会後、函館の居留地研究者と学会員との交流が行われた。

研究会参加者:50名程度(会員5名、非会員45名程度)
懇親会参加者:10名
                                       (文責:小川正樹会員)
報告会の様子、報告者は小川正樹会員 報告会の様子、前列左から王維会員、過放会員、曽士才会員 報告会の様子

■2006年度特別企画(沖縄)の報告■

日時:10月12日(木) 13:00-17:20  
会場:沖縄県男女共同参画センター「てぃるる」
司会: 緒方 修 会員(沖縄大学人文学部長,教授)
第一部 特別講演
  赤嶺 守 氏(琉球大学法文学部教授)
  「琉球王国と華僑社会」
第二部 研究発表
  小熊 誠 会員 (沖縄国際大学総合文化学部長,教授)
  「久米村系門中について-その概要と近年の福建との交流-」
  榮野川 敦 氏(沖縄大学大学院生)
  「久米村系士族の屋取村(集落)-旧具志川市の事例から-」
第三部 講演
  田名 真之 氏(沖縄国際大学総合文化学部教授)
  「久米村の成立と展開」

 沖縄特別企画実行委員会(嘉数 啓,緒方 修,小熊 誠の3会員)のご尽力により、学会として初めての特別企画が開催された。この日は第4回世界ウチ ナーンチュ大会初日であったが、会の冒頭、公務でご多忙のなか駆けつけてくださった嘉数会員(琉球大学副学長)が挨拶に立ち、この研究会への期待を表明さ れた。
 赤嶺氏は琉球王国の朝貢貿易で活躍し、土着化していった久米村の人々と戦後に移入した華僑華人について発表された。小熊会員は近世における琉球王国の中 国化に果たした久米村系門中の役割、門中の形成と祖先祭祀からみた彼らの特徴、近年みられる始祖の故郷探しの動きについて発表された。栄野川氏は近世琉球 における士族の次男、三男が地方へ下り、居住する「屋取」、久米村系士族の屋取村の戦前の状況と彼らの意識について発表された。
 その後、会場を久米至聖廟に移し、廟内を見学後、廟内の明倫堂で田名氏が発表された。田名氏は久米村へ移入した福建からの36姓とそのなかの有力姓の形 成、久米村人の華僑集団から首里王府の家臣団への変容について発表された。実に有益で密度の濃い一日であった。参加者のなかには沖縄華僑華人総会の方もお られた。懇親会は国際通りの居酒屋で行われ、沖縄の料理とお酒を堪能することができた。翌日のエクスカーションは、緒方会員の案内で、首里城、玉陵、識名 園を訪ねた。今回の特別企画の準備、設営全般にわたり目配りしてくださった緒方会員にあらためて感謝したい。

参加者数 例会 21名(うち学会員7名、一般の方14名)
       懇親会 8名(うち学会員5名、一般の方3名)
                                              (曽士才 記)
嘉数啓会員の挨拶 赤嶺守氏の報告 久米至聖廟での見学 久米至聖廟内明倫堂にて
田名真之氏の講演